あわせて読みたい
「昨年、女優を辞めようと思っていたんです」高橋惠子、コロナ禍での葛藤を振り返る
高橋惠子さん、住吉美紀
住吉美紀がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの生ワイド番組「Blue Ocean」。“プロフェッショナルの素顔に迫る”をテーマに、各界で活躍されている素敵な方をゲストに迎えて話を伺うコーナー「Blue Ocean Professional supported by あきゅらいず」。
5月23日(月)のゲストは、女優の高橋惠子さん。今回の放送では、コロナ禍で挑戦したことや、ミュージカル出演で得た“気付き”について語ってくれました。
高橋惠子さん
15歳で映画「高校生ブルース」(1970年)に初出演して以来、映画やドラマ、舞台にと約50年にわたって活躍する高橋さん。2021年10月には、ミュージカル「HOPE」でミュージカル初主演を務めました。
高橋惠子さん
◆ミュージカルで“歌うことの素晴らしさ”に気付く
住吉:長いキャリアのなかで昨年、人生の大きな転機があったそうですね?
住吉:ええっ!?
高橋:コロナ禍ということもあり、女優ではなく、違う仕事をしてみようかなと考えたりしていました。
住吉:「これからの人生、別のことをしてもいいんじゃないか?」と思われたんですね。女優以外ではどんなお仕事をお考えに?
高橋:具体的には決まらなかったんですよ。「女優だけで(人生が)終わるのはどうなんだろう……」と思ってしまったところに、(井上ひさしさんの作品を初演出した)小川絵梨子さん演出の舞台「キネマの天地」に出させていただいた際、「やっぱり女優業って面白いな」と思ったんです。
それに、「自分はまだ女優業をやりきっていない」と思ったので、「女優を続けよう……」と思った3日後ぐらいに、ミュージカル「HOPE」のお話をいただいたんです。このミュージカルは、韓国の学生(韓国芸術総合学校)が(2017年に)卒業制作で書いて話題になったものです。
高橋:そうです。ちなみに、ミュージカルは「マイ・フェア・レディ」に出たことはあるのですが、そのときは「歌いません」という約束で出演したんです。「HOPE」も(ミュージカルなので)もちろん歌はあると。あらためて「女優をやろう」と思った3日後に来た話だったので、「(自分に)できるから来た話なんだろう」と前向きに受け止めることにしたんです(笑)。そうしたらね、歌うことがとっても楽しかったんですね。
住吉:素晴らしい。
高橋:作品自体はヘビーな内容なんですけど、歌やちょっとした踊りがあることによって、“悲しい”とか“つらい”っていう感情だけでなく、立体的な楽しさも感じていただけるものになりました。「やっぱりミュージカルっていいな」と思ったことが転機になって、それからは家でも歌うことが多くなりましたし、常に音楽を聴くようにもなりました。
住吉:いろんなキャリアを重ねてこられて、女優業もひとしきりやったと思ったら、実はまだまだ違う世界があったんですね。
高橋:そういうことですね。
住吉:プライベートでも、コロナ禍で新しいチャレンジをされたとお聞きしました。
高橋:自分時間がいっぱいあったので、思い切って学校に通いました。(東京・お茶の水にある)「アテネ・フランセ」というフランス語の専門学校です。そこに1年間、週2回通いました。楽しかったですね。
住吉:週2回を1年間って、大学生並の環境ですよね?
高橋:そうですね。フランス語はそこまで身に付いていないのですが(笑)、仕事とは関係のない人間関係が、家族以外でそんなになかったので楽しかったです。同じ年頃の方もいらっしゃいましたし、20代の若い学生さんもいらしたり。いまだに交流があります。
住吉:素敵ですね。なぜフランス語を選ばれたんですか?
高橋:17歳の頃、フランス語を習いに行ったことがあるんです。私は15歳で女優になったので、高校も行かずに通信教育で女優業に集中したのですが、学生というものに憧れがあったんです。17歳のときにフランス語を習いに行ったんですけど、忙し過ぎて5日間ぐらい通っただけで終わってしまったんです。それがとても心残りだったんですね。
住吉:じゃあ、長年のリベンジだったわけですね。
高橋:そうです。偶然、学校の前を通ることが3回あったので「これは習えってことなのかな」と感じて、思い切って通うことにしました。フランス語を習いに行ってよかったですし、これからもちゃんと続けたいと思っています。
住吉:私も語学を学ぶのが好きなんですけど、“知る”ことで、言葉の向こうのいろんな価値観の発見があるんですよね。海外の作品を演じる上でも役に立ったりしそうですよね。
◆好評を博した舞台で再び主演に挑戦!
住吉:高橋さん主演の舞台「黄昏」は、6月4日(土)の東京・江東区文化センターでのプレビュー公演を皮切りに、全国で上演されます。誰にでも訪れる“老い”と、家族の絆を描いた作品で、(お客さんから)とても支持されている演目とお聞きしました。高橋さんは、2回目の主演なんですね?
高橋惠子さん主演の舞台「黄昏」の一場面から(2020年公演)撮影:岡千里
住吉:コロナ禍は、舞台に関わる人にとっては逆境で、とても大変だったと思いますが、それでも再演が決まるということは、強く支持されているんだなと感じます。
高橋:ありがたいなと思います。
住吉:演じていて、「支持を得られるだろうな」とは感じました?
高橋:そうですね。年齢を重ねていって、もちろんどなたにも訪れる“(人生の)黄昏”(を描いた物語です)。「黄昏」は日本のタイトルで、(元の作品は1978年にアメリカ・ニューヨークで初演されたアーネスト・トンプソンによる戯曲)「On Golden Pond」です。
父娘の確執があり、うまくいかない状態が続くんですけど、いろんなことがあって娘に婚約者ができ、その婚約者の連れ子との交流のなかで老夫婦が変わっていき、確執が解けていって……(というストーリーです)。
「もうすぐ“死”が迫ってきているな」というなかで、それが決して怖いものではない、という感じで受け止めている私のセリフがあるのですが、(そのセリフを通して)「いかに人生を輝かせて生きていくか」ということが見えてくる作品かなと思います。
住吉:高橋さんは「103歳まで生きます」と公言されているそうですね?
高橋:勝手に決めているだけで、明日死んでしまうかもしれないし、わからないことなんですけども。100歳になったときに、「これが歳を取ったってことなのかな。ちょっと腰が痛いな。目が見えづらいな……」ってことを味わい、その余韻が3年あって、そして自然に「みんなありがとうね」って感じで逝けたらいいなと思っています。
住吉:理想ですね。
高橋:103歳まで生きるってこと自体、最初から理想ですからね(笑)。
住吉:100歳で「ちょっと腰が痛いな」ぐらいだったら、最高の健康寿命ですよね。
高橋:そういう気持ちも、ちょっとは味わっていないとね。私にとっての“老い”は、100歳ぐらいに感じられたらいいなと思っています(笑)。
▶▶この日の放送内容を「radikoタイムフリー」でチェック!
聴取期限 2022年5月31日(火)AM 4:59 まで
スマートフォンは「radiko」アプリ(無料)が必要です⇒詳しくはコチラ
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。
—————————————————-
<番組概要>
番組名:Blue Ocean
放送日時:毎週月~金曜9:00~11:00
パーソナリティ:住吉美紀
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/bo/
特設サイト:https://www.tfm.co.jp/bo/aky/