あわせて読みたい
【韓国】通貨スワップは「隠密に偉大に」 心配されるのは我々の必要だけを前に出した一方通行式のようであるからだ
米ワシントンで開催された主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁の業務夕食会に出席した当時の金東ヨン(キム・ドンヨン)経済副首相と李柱烈(イ・ジュヨル)韓国銀行(韓銀)総裁が記者懇談会を開くということだった。
夕食会の途中に行事場所の外に出た2人は、集まった記者の前で韓中通貨スワップの延長を明らかにした。
当時、THAAD(高高度防衛ミサイル)配備をめぐり韓国と中国の葛藤が深まっていた。韓中通貨スワップが延長されるかどうかは不透明だった。
満期日(10月10日)の朝の「事実上の延長合意」という中央日報の単独報道について、李総裁が「(通貨スワップは)交渉相手があるものであり、まだすべてのことが完結したわけではない」と述べてから4日後の公式確認だった。
時間が経過した後、該当事案に詳しい関係者に聞いた顛末はこうだ。両国は韓中通貨スワップ満期1カ月前の同年9月に延長に合意した。
ただ、当時の周小川中国人民銀行総裁がTHAADなど外交問題が引っかかっていたため延長事実の公式発表を望まなかったという。
しかし国内の状況を考慮すると韓国側は延長合意を発表する必要があると強調し、ワシントンG20会議で中国側と会って説得した結果、略式懇談会を開くことになった。
5年前の状況を振り返ったのは、韓米通貨スワップ締結に関連してさまざまな主張が出ているからだ。21日に予定された韓米首脳会談で常時開設を議論すべきという声も出ている。
韓国ウォンが世界金融危機当時の水準まで下落した状況で、通貨スワップ締結は金融市場の不安を緩和できるカードだ。
心配されるのは、韓米通貨スワップの再開または復活主張が通貨スワップの「相手」を変数とせず、我々の必要だけを前に出した一方通行式の当為として流れるようであるからだ。
韓国は「ドルの傘」に入れば安全だ。半面、米国が傘を広げるかは別の問題だ。実際に米国と結んだ2度の通貨スワップは韓国ほど米国の必要性があった。剣は米国が握っているという意味だ。
コロナ拡大が本格化した2020年の韓米通貨スワップ締結当時の状況は、金容範(キム・ヨンボム)元企画財政部次官の著書『激変と均衡』にそのまま書かれている。
「2020年3月19日。為替市場が開場したが、1分間はドル売り注文が1件もなかった。企画財政部と韓銀の口先介入にもかかわらず1ドル=1296ウォンまでウォン安ドル高が進んだ。為替市場のパニックを終結させたのは韓米通貨スワップだった。我々が締結のための訪問努力をする前に、この日夜、米国から締結すると連絡があった。(新興国などの)1兆ドルの米国債大量売り事件が影響を及ぼしたとみられる」。
李明博(イ・ミョンバク)元大統領の自叙伝『大統領の時間』によると、世界金融危機当時の2008年の韓米通貨スワップ締結は、当時の姜万洙 (カン・マンス)企画財政部長官が「韓国が保有する米国債を売れば通貨スワップなしに危機管理が可能だ」と圧力を加えながら実現した。
ドル不足による外部リスクの移転を防ぐための米国の措置が通貨スワップだったということだ。
フランスのシンクタンク国際情報展望研究所が「通貨スワップを通じて米連邦準備制度理事会(FRB)が世界の最終貸付者の役割を担うことになった」と伝えた理由だ。
通貨政策の正常化を進めて流動性を吸収するFRBが通貨スワップを稼働する可能性が低いとみるのはその延長線でだ。
このため韓米通貨スワップの公論化は逆効果を招く可能性がある。所期の成果を得ることができなければ、むしろ韓国経済に問題があるという誤った信号になりかねない。
韓日通貨スワップ(慰安婦少女像設置)と韓中通貨スワップ(THAAD)でみられたように、通貨スワップは経済・金融と政治・外交が絡んだ高度なパズルだ。
ある映画の題名のように「隠密に偉大に」(シークレット・ミッション)をモットーに慎重に接近する必要がある。
中央日報日本語版2022.05.16 11:44
https://japanese.joins.com/JArticle/291077