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実はトラブル解決が大得意…ひろゆきが「2ちゃんねるの誹謗中傷問題」を即解決するために書いたメールの文面
※本稿は、西村博之『ひろゆき流 ずるい問題解決の技術』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
■「論破王」と名乗ったことは一度もありません
最近はネットやテレビでの露出が増えて、持ち上げられたり、ツッコまれたりしているひろゆきです。
ユーチューブのチャンネル登録者数が150万人を超えて、多くの人に見てもらっているからなのか、「いちばん信頼している/参考にしているインフルエンサー・有名人」(LINEリサーチ調べ)で2位に挙げられました。
ヒカキンさんの次らしいのですが、これはちょっと過大評価しすぎだと思います。
なぜなら、僕は基本的に、能力は凡人レベルだからです。
大きな失敗をしないという点では、それなりに能力値は高いかもしれませんが、何かを実現させる能力は、たいして高くはありません。
最近は論破王などと紹介されることも多いのですが、僕は自分で論破王と名乗ったことは一度もありません。「論破」はショーとして成立しやすいから、メディアで求められることが多いだけでしょう。誰かを論破しても得るものはないので、むしろ、いかに議論にならないようにするかに頭を使ったほうが賢いと思います。
じゃあ、自分がいちばん得意なスキルは何かなと考えてみたところ、一つあります。
それが、「問題解決能力」です。
■問題解決力が高いほうが生きやすい
生きていると、いろいろな問題に直面します。
アラブの石油王の息子でもなければ、「生きていて困ったことが何一つない」という人は、いないでしょう。上司のパワハラがひどい、人とうまく話せない、自己肯定感が低い……。
そうなると、問題解決力が高いほうが、うまく生きられるわけです。
その点では、僕は何か問題が発生したときに、その状況に合わせて解決策を考える能力は、人より高いかもしれません。
そもそも僕は、問題やトラブル自体が好きだったりします。何か不具合があると気になったり、問題があると正解を知りたくなる性格なんです。
問題を見つけると、いろいろなパターンを想定して、「こうしたらどうなるかな?」と考え始めるとテンションが上がります。解いたことのない問題に直面したら、「さて、どこから手をつけようかな」とワクワクしたり。「こうやったら解決するんじゃね?」と解決策を思いつくと、正解かどうかを確かめたくなります。
自らトラブルに巻き込まれに行くこともあるぐらいなので、おそらくトラブル処理の経験数は人よりも多いと思います。
■「バレなければOK」もアリ
ただ、僕の問題解決の方法は、ほかの人とかなり違うかもしれません。
僕は問題解決をするときに、人から“ずるい”と思われる手段も含めて解決策を考えます。
「ずるい」にもいろいろあります。法に触れなければアリの場合もあるし、バレなければOKの場合もあります。
たとえば、2005年に、堀江貴文さん率いるライブドアがフジテレビの筆頭株主だったニッポン放送を買収しようとして、大きな騒動になりました。メディアでも連日報道され、時間外取引で株を買い占めるのはずるいという論調が高まったりして、結局買収は実現しませんでした。
でも、株を売りたい人と買いたい人がいて、時間外取引という仕組みは存在しているのだから問題はないはずです。それがずるいのであれば、そのシステムをなくせばいいだけなので。実際、この買収騒動のあとに証券取引法が改正されたので、それまでは合法だったということになります。
このように、人が「ずるい」と言うときの大半は感情論なので、何かを判断するときに考慮する必要はないんです。他人の感情や世間体、モラルなどは時間が経てば変わる不確定要素なので、考えるときの軸にしないほうが長期的な正解を手に入れることができるでしょう。
なので僕は、物理的な被害や被害者がいないのであれば、問題解決をするときにずるい手を使うのはアリだと考えています。
ずるい解決法をアリと考えるか、ダメと考えるかは人によって違うでしょう。もちろん、僕は最善策と思って発言しているのですが、「そういう手もあるよね」という方法もあれば、人によっては「それはダメでしょ」と思うような方法もあるかもしれません。
■クレーム対応はメール1通で
僕は問題解決をするときには、いつも次のように考えます。
「いかに手を抜いて、ラクして成果を上げるか」
だから、仕事でも人生でも、何か問題に直面したときは、「どこかに必ず抜け道はある」と考えてきました。
振り返ってみると、僕は大学受験でも、アルバイトでも、社会人になってからも、いつも人と違う道を選んできました。
僕は以前「2ちゃんねる」の管理人をやっていたのですが、こうしたサービスを提供していると、ときどきユーザー間で誹謗(ひぼう)中傷、名誉毀損(きそん)などの問題が起きたりします。近年だとツイッターなどのSNSでも珍しくないですよね。
こういう問題が起きたとき、サイト運営側の対応はけっこう面倒なんです。投稿者を訴えるといった話になると、かなり手続きが煩雑(はんざつ)になります。
流れをざっくり説明すると、
①まずサイト運営者にIPアドレスなどの開示をするように裁判所に請求する
②IPアドレスが開示されたらプロバイダー(インターネット接続業者)を特定して、プロバイダーに投稿者の氏名・住所などの発信者情報を開示するように裁判所に請求する
③発信者を特定できて初めて投稿者を訴えることができる
というように、ちゃんと手続きを踏もうとすると裁判所に3回請求しないといけないんです。
2ちゃんねるなどのサイト運営者は、投稿者がどのプロバイダーを利用しているかはわかるので①の手続きは省けます。それでも、投稿者に文句を言おうとすると、裁判所を介してプロバイダーに発信者情報の開示請求をしないといけません。1件1件、この作業をやるのは、かなりの手間なんです。
■「丸投げ」って反則ですか
そこで僕は、抜け道を考えました。被害者からクレームが入ったら、プロバイダーに次のようなメールを送るようにしたんです。
「おたくのユーザーが、こんな誹謗中傷をしているんですけど、対処せずにこのまま放置するようなら、おたくからはうちのサイトを使えないようにしますよ?」
たとえばニフティを使っている人が2ちゃんねるに悪質な書き込みをしたら、ニフティ経由では2ちゃんねるを見られないようにする、ということです。
そもそも、2ちゃんねるがお金儲けを目的とするサイトだったら、「ごく一部のおかしな人のせいで、ほかのユーザーが利用できなくなるのはいかがなものか」と考えて、特定のプロバイダーから利用できなくなる方法をとらなかったかもしれません。
でも、2ちゃんねるは、あくまで僕の趣味で始めたものなので、対応しないプロバイダーがあったら、実際に書き込めなくしていました。「利用できなくて文句があるのなら、プロバイダーに言ってください」と。
そのおかげで、2ちゃんねるにおかしな書き込みをするユーザーに対しては、プロバイダーが自主的に対応してくれるようになりました。本来であれば、「内容証明を送って、裁判をやって……」という面倒な手続きが、メール1通で済むようになったので、最小限のコストで問題が解決できたわけです。
あとで、あるプロバイダーの担当者に聞いたら、「こんな方法をとるのは『2ちゃんねる』ぐらいですよ」とあきれられました。
このルールは、ニコニコ動画でも引き継ぎました。実際にブロックすることはなかったのですが、どのプロバイダーも僕が管理人だということを知っているので、きちんと対応してくれました。おそらく、2ちゃんねるの前例があったので、「ひろゆきなら本当にやりかねない」という判断があったのかもしれません。
■人と違う結果が欲しければ、みんなと違う道を選べ
多くの人は、大学なら偏差値の高いところを、就職なら一流企業を目指します。高度経済成長期だったら、みんなと同じことをやっていれば幸せになれたでしょう。
でも、右肩下がりの時代にみんなと同じ道を選んでいるとみんなと同じように不幸になっていきます。
人気の道は、競争率が高くなります。競争率が高いぶん、優秀な人と競う確率も上がるので、たくさん努力をしないといけません。つまり、お金や時間、心の余裕とかをつぎ込まざるを得なくなります。
でも、そうしたリソースって、無限ではないんです。リソースは有限なので、効果のあるところにつぎ込んだほうがコスパがいいのは言うまでもありません。一生懸命がんばって儲けるよりも、何もしなくても成果が上がる仕組みを増やしたほうがラクなのは当然ですからね。
安全で、幸せになれそうな列に並ぶ人が多いぶん、ラクに得する抜け道は、じつは空いていたりします。
人と違う結果が欲しければ、みんなと違う方法を選ばないと、手には入らないんですよね。
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2ちゃんねる創設者
本名は西村博之。1976年、神奈川県生まれ。東京都北区赤羽で育つ。1999年にインターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年に株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年に英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。自身のYouTubeチャンネルの登録者数は140万人、Twitterのフォロワー数は144万人を突破。
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