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小籔千豊さん、ラストオーダー10分前の入店お断りに「法的手段あるかな?」…弁護士に聞いてみた
お笑い芸人の小籔千豊さんが、4月25日放送のラジオ番組「小籔・笑い飯の土020」(MBSラジオ)で、自分が腹を立てる出来事の一つとして、飲食店における「ラストオーダー」をめぐるエピソードを語りました。
小籔さんは自身の体験談として、「『ラストオーダー1時半』って書いてる店に1時20分に行って、『もう終わりました』って言われた時、むちゃくちゃ腹立つねん!」と切り出しました。
「僕食べるの早いのでおなじみです」という小藪さん。「ラストオーダー1時半、店が閉まるのが2時」という飲食店に行って、店閉まるまでに食べ終える自信はあったものの、店側から「すいません、あの今日はもう終わりまして」と言われてしまったそうです。
小藪さんは「オレの時計狂ってんのかな。あれイヤやわ」と断られた際の心境を振り返ります。ラストオーダー前に「本日は終了しました」という看板があっても納得しかねるところ、「営業中」の表示があったのに営業終了と伝えられたことに、「外の看板なに?」と余計腹が立ってしまったようです。
蕎麦屋の例を挙げて、「『お蕎麦がなくなり次第終了です』それはええねん。最初に言うてくれてるから」と話す小藪さんですが、「あの10分だけは何とかしてほしい。法的な手段、取られへんのかな」と語るなど内心ではずっとモヤモヤしているようです。
あらかじめ周知されているラストオーダーの時間前に来店したにもかかわらず、飲食店で食事をすることができなかった場合、何か取りうる法的手段というのはあるのでしょうか。そもそも、店側はラストオーダーの時間前に来店した客の利用を一方的に断ることはできるのでしょうか。西口竜司弁護士に聞きました。
●法的には店側が断れるが…「常識的な行動が大切」
——ラストオーダーの時間直前に店を訪れるというケースは珍しくなさそうです。
小藪師匠は本当に面白いですね。大ファンです。
今回のお話しは普通によくありそうなことですね。最近では、新型コロナウイルス感染症を意識して、自主的に早めに閉店するお店も増えてきていますね。
今回のような問題は、お店の側にもお客さんの側にも言い分があることですが、少し法的に解説をさせていただこうと思います。
——来店した客の利用を店側が一方的に断ることはできるのでしょうか。
非常に難しい問題ですね。100%の正解というものはありませんが、あくまで一般論ということで書かせていただきます。
結論からすれば、「断れます」ということになります。
営業時間とは、文字通りお店が営業している時間です。閉店間際に客が来た場合、営業時間内に営業を終了できない可能性があります。そのため、たとえば営業時間が午後9時までの場合、午後8時50分に来た客には料理等を提供できない可能性があるので、断ることが可能なのです。
——食材をすべて使い切ってしまったような場合も同じでしょうか。
食材がなくなった場合、営業は不可能ですね。したがって、このような場合も利用を断ることはやむを得ないといえるでしょう。
他方、「閉店時間までに閉められなかったらヤダな」というような不安な気持ちだけで閉めてしまうのは、少し問題がありそうですね。
店側には営業の自由があり、店主の判断で店を開けたり閉めたりすることができます。したがって、漠然とした不安感でお店を閉めることも法的には可能だという結論になります。
ただし、お客様から予約の電話や営業時間の問い合わせがあるような場合に閉めてしまうような場合は損害賠償請求ができる可能性がありますね。
——あらかじめ周知されているラストオーダーの時間前に来店したにもかかわらず、飲食店で食事をすることができなかった場合、何か取りうる法的手段というのはあるのでしょうか。
この場合、お客様としては貴重な時間を使っているわけですね。注文を完了しているような場合は店と客との間ですでに契約が成立しており、債務不履行に基づく損害賠償請求を追及できる可能性があります。
また、注文に至らなくても時間を使わされてしまっており、不法行為に基づく損害賠償請求の余地はあるかと思います。
いずれにせよ店と客との信頼関係の問題ですね。常識的な行動が大切だと思います。
私自身、同じ状況だと腹を立ててしまいそうです。美味しいもの食べたいけど、ダイエット中で飲食店に行けない自分自身の境遇を眺めつつ筆を執りました。
【取材協力弁護士】
西口 竜司(にしぐち・りゅうじ)弁護士
1973年9月生まれ大阪府出身。法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。弁護士YouTuberとしても活動を開始している。
事務所名:神戸マリン綜合法律事務所
事務所URL:http://www.kobemarin.com/