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なぜプロ野球の監督は、シーズン途中で解任されにくいのでしょうか。一般社団法人日本スポーツマンシップ協会理事の江頭満正さんに聞きました。
【表】Jリーグとプロ野球 優勝チームの勝率の違いを見る
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プロ野球は勝率6割でもリーグ優勝が可能
Q.Jリーグに比べると、プロ野球の監督は成績不振でもシーズン途中に解任されるケースが少ないと思います。なぜなのでしょうか。考えられる理由について、教えてください。
江頭さん「野球とサッカーの競技性の違いが最大の理由です。野球では、9人の選手のポジションがルールで厳格に定められていますが、サッカーでは、選手が試合中にどの位置にいなくてはならないというルールはありません。
監督の考え方によって、11人の選手を自由に配置することができます。いわゆるフォーメーションは、サッカー監督の最大の采配といえるでしょう。試合が始まったら、監督が選手に指示を出す機会は限られていますが、監督の考えによるフォーメーションが試合に与える影響は大きいと考えられます。
野球の場合は、1打席ごとにサインを出す監督も存在しますが、監督からのサイン通りにゲームが進まないことを前提に監督の評価が行われており、また、失敗が許される競技でもあります。バッターは70%失敗しても、3割打者として称賛されます。ピッチャーも無四球で9イニング(9回)投げることを要求されていません。
第2の理由としては、シーズンの構造です。サッカーのJ1リーグの場合、34試合(2022年)ですが、プロ野球は2022年の規定では143試合です。4倍の試合数を行うプロ野球における8連敗は、J1リーグの2連敗と同じ重みになります。
プロ野球のリーグ優勝チームの勝率は、2000年から2021年までセ・パ両リーグの平均で59.48%に過ぎません。つまり、100試合あったとして、そのうち40試合で負けても優勝可能です。2000年以降の優勝チームで最も勝率が高かったのは2012年の原辰徳監督率いる読売ジャイアンツで勝率66.7%、最も勝率が低かったのは、2015年の真中満監督率いる東京ヤクルトスワローズで53.9%でした。
J1リーグでも、同様に2000年から2021年の優勝チームのデータを確認しました。その結果、2ステージ制の年もあるので、野球との単純比較は難しいのですが、勝率の平均は、引き分けを試合数に含んだ場合は62.7%、引き分けを試合数に含まないと75.1%でした。優勝するためには敗戦を少しでも減らさなくてはなりません。
敗戦数に注目すると、2000年以降の優勝チームで最も敗戦が多かったのは、2016年に年間優勝した鹿島アントラーズの『11』です。当時は2ステージ制で、制覇できなかった第2ステージ分を入れても11敗しかしていなかったわけです。一方、プロ野球は、65敗しても優勝した2015年のヤクルトの事例があります。つまり敗戦1つの重みが、J1リーグと、プロ野球とでは大きく違うのです。
そして、Jリーグと違い、プロ野球には降格がありません。最下位になっても、翌年も同じリーグで試合をすることができますので、経営面での環境が大きく変化するわけではありません。競技性とシーズンの構造、リーグの構造、この3点が監督交代に関する評価の違いになっています」
大人んさー 4/9(土) 6:10
https://news.yahoo.co.jp/articles/072ebcabe96d57f5399c2c98a1e5a0c472925dc7