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米国では空前のブームなのに…日本で広がる「F1離れ」の懸念
2022年03月24日NEW
https://friday.kodansha.co.jp/article/235474
F1ファンにとって待ちに待った季節がやってきた。
3月20日に決勝が行われた開幕戦・バーレーンGP。近年不調に苦しんだフェラーリが、シャルル・ルクレールとカルロス・サインツJr.のワンツーフィニッシュで表彰台に輝いた。また、アルファタウリの日本人ドライバー・角田裕毅も予選16位から脅威の巻き返しを図り、8位入賞を果たした。
昨年、レッドブルのマックス・フェルスタッぺンがワールドチャンピオンに輝いた流れに続き、「メルセデス1強」の時代から勢力図が変わった予感が漂う今シーズン。11月の最終戦・アブダビGPまで激戦が期待できそうだ。
初戦を終え、日本のモータースポーツファンの「ぜひ、地上波放送の復活を」と願う声がSNS上で多く見られた。20日、唯一地上波でSUPER GTを専門に扱う番組『SUPER GT+』(テレビ東京系)が次回放送で終了することが発表されたこともあり、「モータースポーツ離れ」を危惧する声が高まったことも一因としてあるかもしれない。
昨年に続き、今年もF1中継は有料放送(配信)のみで、『DAZN』(一部無料期間あり)やCSチャンネル『フジテレビNEXTライブ・プレミアム』を経由して観戦する形になった。
「昨年はホンダがF1でのワークス活動最終年となり、角田が7年ぶりの日本人ドライバーとしてフル参戦した、日本にとってメモリアルなシーズンでした。にもかかわらず、日本GPが新型コロナウイルスの影響で開催できなかったのは無念としか言いようがありません。
ファンの期待が高いのはフジテレビ側もわかっているはずですが、よほどのことがない限り地上波放送を再開することはないでしょう。
世界的にも有料放送が主流になっていますし、フジはF1中継を有料チャンネルの目玉として維持しなければならない。ネットの動画配信サービス『FOD』との棲み分けも含め、同局のF1有料中継は重要な役割を担っているようです」(テレビ局関係者)
フジテレビのF1中継といえば、古舘伊知郎に代表される名実況の数々や、T-SQUARE(THE SQUARE)の『TRUTH』が流れるCGのオープニングなど、印象的なディレクションがまず思い出されるだろう。
もちろん現在の有料配信・CS放送においても、臨場感を出すような工夫が凝らされているが、当時の勢いには敵わないのでは、という向きも多い。
世界的な「F1中継有料化」が進むなか、ファンを着々と増やしているのが米国だ。2012年にサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で初めて開催されたアメリカGPは2026年まで契約延長したことが発表されている。
「2016年にリバティ・メディア社がF1事業を取得して以来、不人気スポーツになりかけていたF1は一般の若者にウケるコンテンツへイメージ転換を果たしつつあります。また、ネットフリックスのF1ドキュメンタリー『Drive to Survive』が大ヒットしたのも大きいです。
去年のアメリカGPは40万人が来場し、今年のチケットも10月開催にもかかわらず発売後即完売。あのグーグルがマクラーレンF1チームのスポンサーになるなど、米企業のプロモーションも加速しています。
NASCARやインディカーといった自動車レースが長年人気を誇る中で、F1に熱中する若者が増えているのは、まさにメディア戦略の賜物と言えるでしょう」(自動車専門誌記者)
日本でさらなるF1ファンを獲得するためには、メディアの綿密なプロモーションが必要になってきそうだ。