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韓国新大統領「克日」の言葉ににじむ日韓関係ホントの狙い
そう宣言するのは、3月9日に行われた韓国大統領選挙に勝利した野党第一党『国民の力』の尹錫悦(ユンソギョル)氏(61)だ。対立候補の与党『共に民主党』の李在明(イジェミョン)氏(57)に、得票率にして0.7ポイントという僅差で勝利。5月10日に新大統領に就任する。
選挙期間中は『日韓関係の改善』を掲げるなど親日派として知られる尹氏だが、はたしてどんな人物なのか。韓国政治に詳しいライターの金香清(キムヒャンチョン)氏が語る。
「任官から25年という異例のスピードで検事総長にまで上り詰めた人物です。’16年の朴槿恵(パククネ)(70)政権の裏金問題や’18年の李明博(イミョンバク)(80)元大統領の収賄問題の解明に尽力しました。権力に立ち向かう姿勢から、検察時代は『国民検事』と呼ばれ、支持されていました」
一方でプライベートでは、庶民的な一面も見せている。
「尹新大統領は大の野球好きとして有名です。小学校の頃は毎日学校にグローブを持っていっていたそうです。受験勉強のために野球部に入ることはできなかったようですが、野球好きは健在で、大統領候補になってからも、試合観戦を楽しむ姿が目撃されています。
生まれ育ったソウルを本拠地にする『斗山(トウサン)ベアーズ』の大ファンですが、検察時代に異動で赴任したことをきっかけに『ロッテジャイアンツ』や『三星(サムスン)ライオンズ』も応援するようになったそうです。
お酒も大好き。尹新大統領は司法試験に8回も落ちているんですが、試験勉強そっちのけで飲み会に参加していたからだと噂(うわさ)されるほど。動物好きとしても知られ、愛犬4匹と愛猫3匹に囲まれて暮らしています。愛犬が交通事故に遭った際には、4年間で17回もの手術を施して命を助けました。選挙期間中もよくペットたちの写真をSNSにアップしており、溺愛していますね」(金氏)
現在、日韓関係は戦後最悪と言われるほど冷え切っている。徴用工問題を巡って’18年に韓国が『日本製鉄』に賠償を命じたことに端を発し、’19年から日韓貿易紛争が発生。日本が韓国への半導体原料の輸出を制限するなど、両国間の経済活動は停滞している。ほかにも慰安婦問題や領土問題など課題は山積みだ。新たなリーダーの誕生は日本にどのような影響を与えるのか。国際政治に詳しいジャーナリストの山田敏弘氏が解説する。
「文在寅(ムンジェイン)大統領(69)は徹底して日本との対話を避けてきました。一方で尹新大統領は『日本との歴史問題や経済問題を包括的に解決する』と語り、首脳同士が相互訪問するシャトル外交を復活させる意向を示すなど歩み寄りを見せています。日韓関係は雪解けへと向かうでしょう。
ただ不安材料もあります。まずは’24年まで続く『ねじれ国会』です。現在の韓国議会は約6割が革新系で、保守派の尹大統領の意向がストレートに通りづらい。さらに尹大統領自身の政治歴の浅さも気になります。’21年7月に政界入りしてからわずか8ヵ月足らずでの大統領当選と、本人の政治能力は未知数です。まだ政治基盤も脆弱。実際に数々の問題が片付くには時間がかかると思います」
一方で山田氏は、対中国・北朝鮮との外交問題が解決に向かう可能性に期待している。
「いままでの韓国の歴代政権はすさまじく中国・北朝鮮寄りでした。しかし尹新大統領は『日米韓の安全保障を強固にする』と語り、中国が猛反発していたミサイル防衛システム『THAAD』の導入を宣言しています。中国や北朝鮮に対して3ヵ国で足並みを揃えて対峙する姿勢を強調するためです。これにより北朝鮮のミサイル発射や拉致問題に進展があるのではと考えています」
就任直後の5月には日米韓の最初の首脳会談も計画されている。庶民派リーダーの活躍に期待したい。
『FRIDAY』2022年4月1・8日号より
FRIDAYデジタル 4/2(土) 10:32配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/96095d3dd70eef300a6e5b82f2642ac153a12fc2