ロシア軍、ウクライナ総攻撃に向け兵力を極東から投入へ

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ロシア軍、ウクライナ総攻撃に向け兵力を極東から投入へ | ニコニコニュース

 ロシア海軍太平洋艦隊は、3月10日3月14日、3月15と16日、艦艇を活動させた。この時期にしては、かなり異常なことだ。

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 なぜなら、オホーツク海は流氷で活動が制限されており、通常であれば、ウラジオストク付近では、小規模の春季訓練しか行わないはずだからだ。

 それなのに、オホーツク海~千島列島東部海域~ペトロパブロフスク沖まで進出して活動したと思われる。

 さらに、極東の端の地域からも兵員・兵器の輸送を行っているようなのだ。

 ウクライナから遠く離れた極東方面軍、太平洋艦隊でも活動を活発にした海軍の動きは、極東正面から戦力を抽出した後に、米国・日本から攻め込まれないような態勢をとるように、ウラジーミル・プーチンや軍最高司令部からの命令があったからであろう。

 では、極東方面での艦艇の動きについて、3つの特色があるので、活動内容と狙いについて考察する。

1.3月10日戦闘艦艇10隻の行動

 まず、ウダロイⅠ級駆逐艦1隻、ステレグシチーⅡ級フリゲート艦4隻、グリシャ級小型フリゲート艦2隻、補給艦1隻、潜水艦救難艦1隻、航洋えい船1隻の動きだ。太平洋方面から津軽海峡を通過して日本海に入った。

 特異な艦が随伴することで、軍艦の活動の狙いが分かるので、写真で紹介する。

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イゴリ・ベロウソフ級潜水艦救難艦

ソルム級航洋えい船

 これらの艦は2月、オホーツク海に入ったものが、千島列島を通過して、太平洋に出て、そして津軽海峡を通過して日本海に入り、ウラジオストク港に帰投したものだろう。

 戦闘艦艇7隻は、オホーツク海や千島列島沖の海域で、海軍の演習を行ったと考えられる。

 この時期は通常、ウラジオストク沖で小規模の訓練を実施するのだが、ソ連が崩壊後、春に千島列島の東海域で演習を行ったのは極めて異例のことである。

 ウクライナ侵攻の間に、太平洋方面でも戦闘態勢にあることを示したかったのだろう。

 その狙いは、日米から攻撃を受けないように、示威行動を行ったということだ。プーチンから気合を入れられて、軍最高司令部の命令によって動いたと見ている。

 潜水艦救難艦1隻の参加は、潜水艦に事故が発生した時に、救助するための艦であることから、これらの10隻の動きは、潜水艦と共同行動を行った可能性がある。

 航洋えい船1隻は、オホーツク海の流氷の影響を受けて、動けなくなった艦を曳航していくためであった。

 オホーツク海の流氷の中で行動することは、久しぶりのことだったので、十分警戒をして、準備を行ったのだろう。

 戦闘艦艇は、2017年以降に就役した新型艦のステレグシチーⅡ級フリゲート艦4隻だ。

 だが新型艦であるにもかかわらず、塗装がきれいではない。ウダロイ級駆逐艦もグリシャ級フリゲート艦も錆が見える。

 特に、グリシャ級の錆はあまりにも酷い。旧ソ連時代にはこんなみすぼらしいことはなかった。

 ということは、太平洋艦隊には、軍艦の整備費用がなく、整備が行き届かず、何とか動かせる軍艦をかき集めて演習を行ったと見てよい。

 太平洋艦隊はかなり無理をして演習を実施したのだろう。

2.3月14日、潜水艦・水上艦艇の行動

 次に、キロ級攻撃型潜水艦(通常型)3隻、ウダロイ級駆逐艦1隻、マーシャル・ネデリン級ミサイル観測支援艦1隻、航洋えい船1隻、砕氷艦(商船)が、宗谷海峡を西進した。

 これらの艦は、オホーツク海~千島列島東側海域~ペトロパブロフスク沖で演習を行ったとみられる。

マーシャル・ネデリン級ミサイル観測支援艦

 ミサイル観測支援艦だが、これは旧ソ連時代からミサイル発射の都度、海洋に進出し、ミサイル発射実験を観測していた艦だ。

 この船が、この海域で活動していたということは、ペトロパブロフスクの弾道ミサイル潜水艦(SSBN)が発射したSLBMレーダーで追随していたと考えられる。

 キロ級攻撃型潜水艦は、ミサイルを発射しているSSBNを水中で防護していた。米軍の攻撃型潜水艦からの攻撃から守るという想定であったと思われる。

 砕氷艦は、軍艦が行動できるように、オホーツク海の流氷をかき分ける。航洋えい船は、演習に参加した艦が、故障した場合に救助し、ウラジオストク港まで曳航するために行動した。

3.10日と14日に行動した軍艦の狙い

 この演習は、旧ソ連時代に太平洋艦隊が実施していた演習に似ている。

 ロシア海軍太平洋艦隊の水上艦艇が水上で、潜水艦が水中で、米海軍の攻撃を防ぎ、バスチョン防衛として守られた千島列島から、オホーツク海の海域で、SSBNが水中からSLBMを発射する(実際に発射したかどうかは、情報がなく不明である)演習を実施したのだろう。

 ソ連が崩壊する以前に、「THE SOVIET MILITARY POWER」に詳細に記述されていたことを、ウクライナ侵攻に合わせて実施したということだ。

 プーチンは、ウクライナ侵攻3日後に、核戦力を含む核抑止部隊(戦略ロケット軍など)に、即応態勢を「高度の警戒態勢」に上げるように命じた。

 太平洋艦隊も、この命令に基づいて具体的な行動をとったのが、これらの動きなのであろう。

太平洋艦隊演習想定(イメージ

4.14~16日に揚陸艦・輸送艦も

 太平洋艦隊のアリゲーター級戦車揚陸艦1隻、ロプーチャ級戦車揚陸艦3隻、兵器輸送艦1隻が津軽海峡を通過して日本海に入り、おそらくウラジオストク港に入る。

アリゲーター揚陸艦

 この動きは何か。

 アリゲーター揚陸艦(約4000トン)1隻は、兵員約400人と戦車20両を輸送できる。

 ロプーチャ級揚陸艦は、兵員340人と装甲歩兵戦闘車(BTR)12両を輸送できる。合計3隻で、兵員約1,000人とBTR36両を輸送できる。

 部隊規模だと、1個連隊を輸送できるということだ。

 ズヴョズドチカ級兵器輸送艦は、能力などの詳細は不明だが、おそらく、前述の揚陸艦並みの輸送能力があるとみてよいだろう。

 兵員300~400人と装甲歩兵戦闘車など12両を輸送できる。

 その他、駆逐艦フリゲート艦、ミサイル観測支援艦、砕氷艦を使って兵員を輸送したとすれば、兵員約200人×8で約1600人となる。

 トータル兵員輸送量は、最大兵員3000~4000人を輸送したことになる。2個連隊規模の部隊だ。

 どこから輸送したのかを考えると、宗谷海峡や津軽海峡を西進したことから、おそらく、北方領土の師団から、半分以上の兵員を輸送したことになる。

 極東の果ての北方4島から戦力を抽出することは、ロシア軍は、かなり戦力が不足していることと、プーチンの命令によってかなり無理をさせられているということを意味している。

6.増援兵力で再び総攻撃が始まる

 極東方面の地上軍、つまり、中国との国境に配備された部隊や樺太・北方領土に配備された部隊、合計13個旅団がこれまで全部が残されていたと想定、そこから約半数を抽出したとすると、最大約4.5万人をウクライナ正面に転用できることになる。

極東方面からの戦力抽出とウクライナへの投入

 シリアからの4万人を入れれば、多くて、約8~10万人の兵を投入可能となる。

 再び総攻撃できるのはいつか。

 ウラジオストクからウクライナまで距離約7000キロで移動に3.5日、搭載に1日、荷下ろしに1日、戦闘準備に1日、戦闘展開に1日かかるとすれば、約1週間で戦闘加入ができる。

 3月16日に移動開始したとすれば、23日から27日の間に、増加兵力を投入して、再び総攻撃が可能になる。

 ロシア軍は再び総攻撃ができるが、国内の問題や国境線で対立する国との間の問題には対応できなくなる。

 例えば、ロシア軍の残留部隊は、最小限の兵になっているので、地方でデモが活発化したり、民族紛争が生じたりすれば、軍を投入する数は限られ、対応が不十分になるだろう。

 もし、ほぼ全軍を投入して、ボルガ川の東岸までロシア軍を進められなければ、プーチンの作戦は失敗とみなされる。

 キエフを占領できなければ、プーチンは政権に残ることはできなくなるだろう。

 ウクライナ軍は、来週には再び厳しい戦いを強要されることになる。米軍からの無人機100機をそれまでに間に合わせてほしいものだ。

 この100機は、ロシア軍の縦隊を叩くのに最も効果的な兵器だ。私も、無人機の投入を待ち望んでいた。

[もっと知りたい!続けてお読みください →]  キエフ包囲戦、ウクライナ軍が勝つための戦略と戦術

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(出典 news.nicovideo.jp)

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