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【ロシア撤退問題】韓国や中国の企業、「脱・ロシア」に消極姿勢-日本企業と対照的
→中国に加えインドもプーチン氏批判を避ける政府と歩調合わせる
ロシアとの関係を断ち、ウクライナへの侵攻を非難する欧米企業に続き、アジア企業にもその動きが広がってきた。ロシアへの経済制裁によって、同国での事業を維持するのが困難になってきたことが背景にある。ただ、それぞれの事情により対応には違いも表れている。
ロシアでの市場シェアが約37%に上る日本たばこ産業(JT)は10日、ロシア市場における全ての新規投資とマーケティング活動を一時停止すると発表した。同社はロシア市場での事業を通常通り運営するとしていたが、数日で方針を転換した。
衣料品チェーンの「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングも、ロシアで展開する50店舗を一時的に閉鎖した。7日には柳井正会長兼社長が事業継続の方針を示していたが、ソーシャルメディアでボイコットの声が上がったほか、駐日ウクライナ大使からの反発を招いた。
□ユニクロ、ロシア事業の一時停止決定-ウクライナ情勢で継続困難 – Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-03-10/R8IWA4T1UM0X01
しかし、アジアの企業にはロシアでの事業を守る多くの理由がある。中国とインドの企業は、ロシアのプーチン大統領への批判を避けている政府の動きを注視しながらも、事業継続で歩調を合わせている。
中国当局者と同国国営企業は、ロシアのエネルギーやコモディティー企業に対する投資の可能性について協議中だ。ロシアに多額の投資をするインドのエネルギー企業の大半は国営で、これまでロシア事業についての目立った行動は控えている。
日本や韓国でも、ロシアで事業活動を続ける企業はある。一部の石油関連プロジェクトや自動車メーカーは、ロシアでの事業確立に数十年を費やしており、容易に停止することはできないからだ。
それでも、ロシアで事業を続けていては世論の反発をかわすことができないとの判断に傾く日本企業が増えている。資生堂は9日、ロシア向けの輸出・出荷の即時停止と同国での広告宣伝を全面中止すると発表し、併せてウクライナでの停戦を呼び掛けた。
□ユニクロも一転、ロシア事業見直し相次ぐ-日本企業でも「人権重視」 – Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-03-10/R8IAXZDWLU6H01
こうした動きについて、第一生命経済研究所の田中理・主席エコノミストは「特にグローバルで事業を展開する企業は、最終消費者や投資家などさまざまな視線にさらされており、人権の面を考慮した経営判断を迫られている」と指摘する。
人道的観点からの事業見直しという点では、海外企業にやや後れを取ったものの「日本企業も敏感に反応しており、人権重視の考え方が浸透してきている」とも話す。
モスクワのユニクロ店舗/Source: Bloomberg
国際的な圧力の高まりや経済制裁に伴う障害を理由に、他の日本企業でもロシア事業を停止する動きが出ている。ウクライナのフョードロフ副首相がツイッターでゲーム企業に対して行動を呼び掛けた後、ソニーグループと任天堂はロシア向けの出荷停止に踏み切った。
□ゲーム業界にも紛争余波、ソニーGと任天堂がロシア向け出荷停止 – Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-03-10/R8I5CHT1UM0W01
>>2 へ続く
原題:
Japan Inc Joins Russia Exit as Korea, China Companies Remain(抜粋)
https://www.bloomberg.com/news/articles/2022-03-11/japan-inc-joins-russia-exit-as-korea-china-companies-remain
2022年3月14日 12:35 JST
Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-03-14/R8PFX5DWRGG001