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「ラーメン」とは、中華麺とスープを主とし、様々な具(チャーシュー、メンマ、味付け玉子、刻み葱、海苔など)を組み合わせた麺料理。漢字表記は拉麺、老麺または柳麺。別名は、「中華そば」及び「支那そば」、「南京そば」で、「らーめん」、「らあめん」、「らぁめん」、「ら〜めん」、「らー麺」と平仮名で表記されることもある。
86キロバイト (8,665 語) – 2022年3月7日 (月) 14:38
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2022.03.09
著者 : オトナンサー編集部
アドバイザー : 成田良爾(なりた・りょうじ)
乗降客の多い駅の構内には、立ち食いうどんやそばの店がよくありますが、同じ麺類のラーメンの店は見かけません。なぜ、「立ち食いラーメン」の店はないのでしょうか。
https://otonanswer.jp/post/108725/
乗降客の多い駅の構内には、立ち食いうどんやそばの店がよくあります。電車のちょっとした待ち時間に、席が空くのを待つこともなく食べられ便利なのですが、同じ麺類である「立ち食いのラーメン店」はほとんど見かけません。
立ち食いうどんやそばの店はあるのに、「立ち食いラーメン」の店をほとんど見かけないのは、なぜでしょうか。飲食店コンサルタントの成田良爾さんに聞きました。
提供までの時間や価格がネック
Q.日本では、立って食事をすることについて、「行儀が悪い」と言われることが多いと思います。飲食店全体から見ると、立ち食いの飲食店の割合は少ないのでしょうか。
成田さん「飲食店全体から見ると、立ち食いの飲食店の割合は少ないですが、それは逆に『席に座ってゆっくり食事を楽しんでほしい』という、日本の飲食店が持っているおもてなしの意味合いも大きいと考えます。
その一方、最近は、フレンチ業態やイタリアン業態、ステーキ業態など多くの飲食業態で、顧客からの『良質の料理を安く』というニーズに応え、食材原価率が高くても経営が成り立ちやすい『立ち食い』の店を増やしています」
Q.なぜ、「立ち食い」の飲食店では、うどんやそばの店が多いのでしょうか。
成田さん「うどんやそばは、丼や定食などよりも、提供までの時間や食べる時間を短時間にすることが可能であり、『短時間で食事を済ませたい』という顧客ニーズに応えやすいためです。ビジネス街や駅のホームに、立ち食いうどんやそばの店が多く立地しているのは、そうした理由があるからです」
Q.同じ麺類でも、「立ち食いラーメン」の店をほとんど見かけないのは、なぜですか。
成田さん「基本的に、『立ち食い』の飲食店の“売り”は、安価で短時間に食べられることです。ラーメンは、うどんやそばに比べると提供までに時間がかかり、価格も高くなってしまいます。
また、ラーメンは、麺をゆでるとかん水(小麦粉に混ぜることで、やわらかさや弾力を持たせるアルカリ塩水溶液)が溶け出すため、早めの湯の交換が必要になったり、スープの仕込みや油分の多い排水が出たりと、時間と手間がかかります。
さらに、ラーメンは、コンビニなどで多種多様な商品や、インスタント食品もあり競争が激しいです。そういったところに『立ち食いラーメン』が広がらない理由があるのではないでしょうか」
Q.九州では、「立ち食いラーメン」の店が、他の地域に比べて多いと聞いたことがありますが、本当でしょうか。多い場合、それはなぜですか。
成田さん「本当です。その理由は、九州で主流のとんこつラーメンの細麺が、ゆで時間が短時間で済むことに関係しています。さらに、麺の硬さを『かなり固め(バリカタ)』で注文する客も多く、その場合のゆで時間は20秒ほどです。
九州にはラーメン文化とうどん文化が根付いているので、オペレーション上の問題をクリアすれば、『立ち食いそば』よりは、優位に展開できるでしょう」
Q.今後、全国に「立ち食いラーメン」の店が広がっていくと思われますか。
成田さん「『安価で短時間』のニーズに応える『立ち食いラーメン』の店は、先述したようにクリアすべき問題も多く、なかなか難しいと考えます。
しかし、昨今広がりを見せるフレンチ業態やイタリアン業態、ステーキ業態の『立ち食い』の店のように、原価が高い食材を使用しても、客の回転数アップや固定費減で経営を成り立たせるのも、『立ち食い』の店ならではの魅力です。
『立ち食い』の飲食店は、食材原価がかつてないほど高騰している今、飲食店が値上げをせずに生き残る手法の一つと私は考えています。クリアすべき問題が解決すれば、今後、『立ち食いラーメン』が広がっていくかもしれませんね」
(オトナンサー編集部)