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羽鳥慎一&長澤まさみ、日本アカデミー賞がつないだ縁 総合司会での初タッグに意気込み
第45回日本アカデミー賞授賞式が、3月11日に開催される。総合司会を務めるのは、2020年から3年連続となるフリーアナウンサーの羽鳥慎一と、21年に「MOTHER マザー」で最優秀主演女優賞を受賞し、初の司会に挑む長澤まさみ。授賞式を前に、司会への意気込み、これまでの授賞式での忘れられない瞬間などについて、話を聞いた。(取材・文・写真/編集部)
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日本テレビ時代に場内インタビューを5回、番組放送の司会を3回担当し、会場の司会は20年(第43回)以来3回目となる羽鳥。しかし、新型コロナウイルス拡大の影響で、第43回は急遽無観客となり、第44回は有観客で行われた。羽鳥は、「今回はいまのところ有観客で、受賞者も会場にいらっしゃるそうなんです。ちょっとずつ通常の状況に近づいてきて良かったなあと思います。私も味わったことのない雰囲気なので、3回目なんですが、初めてのような感覚です」と述べる。一方、授賞式の司会に初挑戦となる長澤は、「和やかな空気で授賞式が行われるといいなと思います。いつも緊張してばかりなので、せっかく司会をやるなら、もうちょっと楽しんでいるような空気感が出るといいなと思っています」と、思いを明かした。
長澤は、羽鳥が司会を務めた20年に「キングダム」で最優秀助演女優賞、21年に「MOTHER マザー」で最優秀主演女優賞を受賞。ともに司会者、受賞者として授賞式を盛り上げてきたふたりには、不思議な縁があるように感じる。長澤の2年連続の受賞の瞬間を近くで見守った羽鳥は、司会者としての初タッグに「光栄です」と声を弾ませる。
羽鳥「去年の長澤さんは、『MOTHER マザー』『コンフィデンスマンJP プリンセス編』という対極の作品に出演されていました。失礼な言い方になりますが、『この人、天才だな。すごい』と思ったんです。そのすごい人と、横に並んで司会ができるというのは光栄です」
対する長澤は羽鳥に、「数々の大変な場を潜り抜けてこられたと思いますし、生放送もずっとやられていて。決められた時間のなかでどう話して、どうまとめるか、考えながら司会をされていると思うので、頼りにしています。私もついていけるように頑張ります」と信頼をにじませる。羽鳥が「長澤さんが親交のある俳優さんたちから、『スクリーンで見るときとは違って、こういう方なんだ』という意外な魅力を引き出してくれるんだろうなと思います」と期待を寄せると、長澤は「受賞者の方々が、きっと優しく迎えてくださると思います」とほほ笑んだ。
今年は、第42回日本アカデミー賞の4部門で最優秀賞を獲得した「孤狼の血」の続編「孤狼の血 LEVEL2」が最多12部門13賞で優秀賞に輝いた。続いて「護られなかった者たちへ」(12部門)、「キネマの神様」「ドライブ・マイ・カー」(8部門)、「すばらしき世界」「いのちの停車場」(7部門)が続く。
長澤はラインナップを見て、「全体的にシリアスな作品が多い印象です。すごく濃密で、見ごたえのある作品が多いので、どの作品が受賞してもおかしくないラインナップになっていると思います」と振り返る。出演作「すばらしき世界」には、やはり「応援したい」という気持ちがあるようで、「西川美和監督に、監督賞と脚本賞を受賞してもらいたいですね。役所広司さんと仲野太賀さんも。西川監督は10年以上前にお会いしたときの印象が強く残っています。昔からかっこいい存在で、女性監督のホープでいらっしゃるので、今年受賞されたら嬉しいですね」と期待をこめた。
授賞式は、受賞者や関係者たちの作品への思いが報われる場所であり、さまざまなドラマが生まれる場所。過去の授賞式での忘れられない瞬間についても聞いてみた。
長澤「やっぱり俳優さんは、志が高い方が多いので、自分に満足している人がいないという印象があって。受賞されたときも、素直に喜ぶというよりは、自分を鼓舞して『もっとやってやるぞ』というような、まだまだ先の野心が見えるようなスピーチが多いと感じます。常に自分を更新されて、日本アカデミー賞に戻ってきているというイメージがありますね。授賞式はおめでたい席ではあるんですが、自分を高める席、自分をやる気にさせる席でもあると感じます」
羽鳥「長澤さんが昨年、最優秀主演女優賞を受賞されて、感極まって言葉をつまらせている姿を近くで拝見して、作品にかける思いや、驚きや嬉しさや感動が表れているんだなと感じました。あとは最優秀主演男優賞を受賞した草なぎ剛さんの『まじっすか?』という第一声も忘れられないです。本当に心の声が出ていたというか、自分が一生懸命気持ちを入れた作品が評価されて、ああいう場で『まじっすか?』という第一声として発せられたことに感動しましたし、心に刺さりましたね。強い思いが伝わってきた、素敵な言葉でした」
2021年の年間興行収入は、1618億9300万円。00年の興収発表以降、最低の数字(1432億8500万円)を記録した前年比113%となったが、全体では下から2番目の数字となった。コロナ禍で、長澤は映画を届ける側、羽鳥は映画を受け取り、伝える側として、どのように映画と向き合ったのだろうか。
長澤「映画に限らずエンタテインメントは、人の想像力を掻き立てるものだと思います。作品を作っている方の熱い思いがあることを知っているので、映画は自分にとって大切なものですし、人生の一部であると感じています。(こうした状況でも)皆さん、そういう思いで映画づくりをしているはずです」
羽鳥「特にこの2年間は皆さん、コロナ禍前にはなかった対策をしながら、いろいろな制約があるなかで、頑張って良いものを作っていらっしゃいます。お話を聞きながら、皆さんのお気持ちがいつも以上に強いんだなと感じています。ずっとコロナが続いていて、皆がイライラして、ちょっとモヤモヤしているなかで、より映画の必要性を再認識しました。映画館の換気対策や、作り手の方の思いを、より強く伝えようと感じました」
第45回日本アカデミー賞授賞式は、3月11日に東京・グランドプリンスホテル新高輪の国際館パミールで行われ、各部門の最優秀賞が発表される。