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【野球ファンなぜ熱狂?】カーリングは「氷上の野球」?
https://www.j-cast.com/2022/02/24431656.html?p=all
北京オリンピックで銀メダルを獲得したカーリング女子日本代表「ロコ・ソラーレ」。「氷上のチェス」とも称される同競技だが、大会期間中、彼女たちに熱い視線を注いでいたのは「野球好き」だった。
ツイッター上では、テレビの試合中継に合わせて野球ファンたちが実況ツイートを投稿。ワンプレーごとに野球用語が飛び交った。プロからアマチュアまで野球が盛んな日本。有識者は、カーリングと野球には多くの共通点があるとした上で「カーリングが今後、日本で長く親しまれる競技になる可能性はある」と期待を寄せる。
■「守護神藤澤見事抑えた!」「阪神のクローザーにならないかい?」
野球は表・裏の9イニング制、カーリングは先攻・後攻がある10エンド制を敷いている。得点が刻まれた横長のスコアボードは瓜二つだ。試合時間も、ともに2時間30分〜3時間程度と比較的長い。
そんな2競技の親和性の高さを示したのが、日本が世界ランク2位の強豪・スイスに8-6で勝利した2022年2月18日の準決勝だ。試合はスキップの藤澤五月選手(30)が獅子奮迅の活躍。第5エンド、最終投で相手のストーンを2つ弾き出す「ダブルテークアウト」を決め4点を奪った。このとき、ツイッター上では「満塁ホームランや!」「グラスラ(グランドスラム)や!グラスラ!」「主砲藤澤いけるやん!!!」と興奮するユーザーが相次いでいた。
さらに、大量失点のピンチを招いた第9エンド、再びダブルテークアウトで1失点に抑えると「火消しの藤澤キタ━━━(゚∀゚).━━━!!!」「藤澤選手みたいなリリーフがオリックスにも欲しい」などの声が。最終10エンド、ラストストーンが得点となり勝利を決めると「守護神藤澤見事抑えた!」「阪神のクローザーにならないかい?」と盛り上がった。
大量得点を生み、失点を最小限に抑える藤澤選手の姿を、エンゼルス・大谷翔平選手になぞらえ、カーリング界の「二刀流」と評する声もあった。 試合後には、読売新聞オンラインが「藤沢五月のスーパーショット連発に『満塁ホームラン』『阪神に来ないか』…野球ファンも興奮の大活躍」と、ネット上の野球ファンがカーリングに夢中になった様子を伝えている。
データも、野球ファンの熱中ぶりを示している。J-CASTニュースはSNS分析ツール「ソーシャルインサイト」で、五輪でカーリング女子の試合が行われた2月10日〜20日にツイッター上で投稿された「カーリング」を含むツイートを分析(対象投稿はサンプリングデータ)。このとき、投稿ユーザーのプロフィールに含まれていたワードの中で最も多かったのが「野球」だった。
■野球ファンなぜ熱狂?
スポーツライターの高木遊氏は21日、取材に野球とカーリングの共通点をこう説明する。
「野球には、投手が最初にボール球を投げる『見せ球』や、三振を取りに来る『勝負球』があります。カーリングも、ガードストーンを置いたり、相手のストーンを弾き出したり、中心円に置きにきたりと、一投ごとに意図があるのが特徴です。また、カーリングはリード、セカンド、サード、スキップと役割が分けられていますが、野球も野手なら1番、2番、3番…投手なら先発、中継ぎ、抑え、といったように役割があります」
なぜカーリングは野球ファンを夢中にさせたのか。高木氏は、野球とカーリングがともに「間(ま)のあるスポーツ」であることが大きな要因だとする。
「ボール(ストーン)が投げられるたびに一回一回プレーが止まり、ファン同士が『次はどういう作戦で来るんだろう』『どういうボールを投げるんだろう』と議論を楽しめる時間が生まれます。また、カーリングの場合は、選手たちの相談をマイクが拾うので、サインプレーの野球よりも議論しやすいと思います」
高木氏はロコ・ソラーレの選手たちの「親しみやすさ」に加え、地方の小さな町(北海道北見市旧常呂町)を背負っているという点から「プロ野球よりは高校野球に近い雰囲気を持っている」と分析。「国内の五輪代表決定戦から盛り上がっていたこともあり、カーリングが今後、日本で長く親しまれる競技になる可能性はあるのではないでしょうか」と期待を寄せた。