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北京冬季五輪とは何だったのか?現地記者が17日間にわたる熱戦の裏側を、振り返る
https://www.tokyo-np.co.jp/article/161412
北京冬季五輪が20日、閉幕した。日本選手団は最多18個のメダルを獲得するなど躍進。一方、新型コロナウイルス禍での完全バブル方式の運営や、ドーピング問題など五輪のあり方には一石が投じられた。17日間にわたる熱戦の裏側を、現地で取材した記者が振り返る。
◆心に残った菜那の涙、世界的な羽生人気
―印象に残った場面は。
永井 スピードスケート女子団体パシュート(追い抜き)。金メダル目前での高木菜那選手の転倒はショックだった。記者席で思わず立ち上がり「あー!」と叫んでしまった。謝る菜那選手を妹の美帆選手が抱き寄せる姿も印象的だった。
木戸 その団体追い抜きのフォトセッションでは他社の写真記者が泣いてしまい、それを見た3選手が泣きながら笑顔になっていた。
中川 1人を挙げるならスノーボードハーフパイプ男子の平野歩夢選手。決勝の1回目からトリプルコーク1440に挑み、何としても大技を組み込んだルーティンを完遂するという意志が伝わった。会場の盛り上がりもすさまじく、決勝3回目のランを終えた瞬間は日本だけでなく各国の関係者が歓声を上げた。
中崎 羽生結弦選手の人気はすごかった。会場は招待客しかいないはずなのに羽生選手が出てくると歓声が上がり、大半の観客が動画を撮るためにスマートフォンを構えていた。
◆痛々しかったワリエワの姿、大人の責任は
―前代未聞のトラブルも多かった。
永井 フィギュアスケート女子ワリエワ選手(ROC)のドーピング問題。公式練習の取材に来るのは普段は日本メディアが大半だが、騒動以降は海外メディアも増えた。試合前の練習で河辺愛菜選手に海外メディアが「この問題についてどう思うか」と聞き、日本スケート連盟の関係者が制止する一幕もあった。
白山 本番のフリーで転倒を繰り返しても気丈に演技を続ける姿は痛々しく、見ていられなかった。まだ15歳。「要保護者」とのことだが、大人が誰も責任ある発言、行動を取ろうとせず、未成年を矢面に立たせたのは残念だった。
中川 スキー・ジャンプ混合団体での高梨沙羅選手のスーツ規定違反は、ジャンプでは珍しくはない。スノーボードの平野歩夢選手の採点への怒りについても、2位のスコット・ジェームズ選手は彼しかできない技を決めている。会場ではジェームズ選手の方が良かったと思う人もいたのではないか。ただ、4年に1度しか注目されないゆえに、問題がどんどん大きくなっていってしまったように感じる。
◆毎朝PCR検査、スマホが止まってしまう寒さ
―新型コロナウイルス対策で完全バブル方式だった。
白山 ホテルで毎朝7〜9時にPCR検査を受けるのが義務。忙しくて忘れると、夜にホテルから検査を受けるようにと連絡がきた。
永井 ホテル内には防護服を着たスタッフが常駐。その光景は2〜3日で慣れたが、食事を終えるとスタッフが食器やテーブル、椅子に消毒液を50回ほどプッシュ。徹底していると言えばその通りだが、やり過ぎな気も。
白山 バブル内のビールやカップ麺などの値段は北京市のコンビニの倍額だった。外に出られないのをいいことに「ぼったくり価格」を付けていると感じた。
永井 フィギュアスケート会場の首都体育館から練習会場のサブリンクへの移動は歩けば2〜3分。しかし、バブル内では徒歩での移動は禁止されていて専用車を利用しなければならない。1度に9人ぐらいしか乗れず、行列ができると目と鼻の先なのに、とイライラすることも多々あった。
中川 こたえたのはバブルより寒さ。レコーダー代わりにしたスマホが突如シャットダウンすること数回。
(以下略、続きはソースでご確認下さい)