あわせて読みたい
オリ時代「もうボロボロ」のハズが盗塁王 それに比べて今年の糸井は超元気!超期待!!
どれだけ注意しても、ギリギリまで仕事をしないヤツ。追い詰められても、腹立つぐらいノンビリしているヤツ。あなたの周りにいるでしょう。
締め切り時間という〝絶対〟が存在する新聞社に、この手のヤツがいると大変。締め切りを過ぎたら、読者の手元に新聞が届かなくなるわけですから。
だから、わがサンケイスポーツ編集局の壁に掛けられた時計は、意図的に時間を約10分進めていた。もう20年近く前から。世間でもよくやる手法だ。10分早く行動していれば、必然的に締め切りは守れる-。
ところが先日、この時計が、どういうわけか、正しい時刻を示していた。悲劇は起きた。今や、時計が10分進んでいることを、知らない社員はいない。みんなが「まだ10分ある」と信じ切って作業中。突然、紙面総括の局次長・酒井哲也が叫んだ。
「あっ、時計が正しい時間になってる!」
知らない人が聞いたら実に驚くだろう。
紙面を作成する最後のとりで・整理部はさらに大パニック。
「誰や‼ 時計を正しい時間にしたのは?」
正しくなくてはいけないのが時計。どう考えても、不思議すぎる会話だ。やがて、時計はストップ。電池が切れたのか。ちなみに、現在は〝正しい時刻〟を示しているんだとか。
「でも今、あの時計が本当に正しいのか? 信用できなくなりました」
電話の向こうの当番デスク・阿部祐亮が不安そうに話していた。新聞社の社内は忙しい、大変だ、と格調高く紹介してきたが、実はこの程度の世界です。笑ってやってください。
キャンプ地・宜野座を盛り上げたのは「糸井さんです。さすがです」。感心していたのはトラ番・原田遼太郎。笑いの中心にいる糸井は〝不思議な会話〟の元祖、象徴的存在だが、最近はちょっと控えめ⁈ SNSで元祖の片りんはのぞかせているが、どうも物足りない。コロナ禍で報道陣との会話の機会が減っているからだろう。
「井上ヘッドが用意したくじを引いて、アメリカンノックの本数を決めるんですが、糸井さんが一番多い『16本』を引き当ててしまったんです。『なんで最年長の俺が一番多いんや』と叫んでいたら、高齢者割引で半分の8本に減りまして。大喜び。メイングラウンドにいるだけで、盛り上がるから、さすが、と表現したんです」
FA宣言して阪神にやってきた男も、故障との戦いに苦しんできた。キャンプの別メニューは当たり前。メイン球場にいないことのほうが多くなっていた。
それが、崖っぷちの2022年はキャンプ初日から本隊と同じメニューをこなし、早々と実戦に出ている。
思い出すのはオリックスの最後の年となった16年のキャンプ。あの時も別メニュー。球場から遠く離れて、ダッシュを繰り返していた。
「もうボロボロ。アカンかもしれへん。どうしよう? 責任取ってくれへん?」
なぜ、私が? 意味不明な会話に圧倒された。が、その年、盗塁王に輝き、ゴールデングラブ賞を受賞し、阪神に移籍した。そんな男が最初から元気に過ごしている。サンスポの時計の何十倍、信じていいだろう。