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「他の選手たちから五輪が奪われていく」フィギュア元アメリカ代表・クリスティー・ヤマグチ、ワリエワの出場に「明らかに正しくない」と苦言!
2月15日に行なわれた北京五輪フィギュアスケート女子シングルのショートプログラム(SP)で、トリプルアクセルの着氷が乱れるなどミスはあったが、82・16点を獲得。ワリエワは堂々の首位に立った。しかし、大会期間中の今月8日に発覚した、違法薬物使用問題に対する風当たりは弱まる気配がない。
仮にフリースケーティング(FS)終了後にワリエワが3位以内に入っても、メダルの授与式は行なわれない。まさしく異常事態だ。実際に北京五輪に参戦する選手たちからも「明らかにフェアな試合ではない」(ナターシャ・マッケイ=英国)といった声が噴出。往年の覇者、元アメリカ代表のクリスティー・ヤマグチも、女子フィギュア界への危機感を募らせている。
1992年のアルベールビル五輪で金メダルを獲得し、世界選手権連覇(91、92)の経歴を持つヤマグチ。90年代の女子フィギュア界を支えた名手は、米放送局『NBC』の番組「Today」の取材で、業界を揺るがす問題に「ショックを受けた」と持論を語った。
「完全に解決はしていませんが、彼女のオリンピックへの出場は、オリンピックの理想から明らかに反するものだと思います。私たちはアスリートとして、『ドーピングをせずに切磋琢磨し、スポーツマンシップとフェアプレー精神に則って出るんだ』と心に誓うんです。それが、誰もが見たいと願うスポーツのあるべき姿だからです。でも、現状はそうしたものからはかけ離れている。明らかに正しくない状況にある」
さらに「仮にどうなっても、不穏な空気が流れ過ぎていて、がっかりする結果は避けられない」と断じたヤマグチは、こう言い放っている。
「こうして重要な意味のあったオリンピックが、他のアスリートたちから奪われていくのは本当にありえない。何よりも悲しいことだと思う」
各国のメディアや識者からの非難の声は強まり続けている。明らかな苦境のなかで、ワリエワはいかなる滑りを見せるのか。FSの演技と結果には世界が注目している。