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【韓国】経済学者らの警告…「民間債務、限界値超えた…ばらまき公約の自制を」
「2022経済学共同学術大会」
「(民間負債が)限界値を超えた」、「対策作りが求められる」、「ばら撒き公約自制すべき」
韓国を代表する経済学の学術大会で、韓国経済に対する警告音が鳴り響いた。米国を中心に流動性縮小の動きが加速化するなど、マクロ経済環境の変化が明確なため、韓国経済の構造的な脆弱点を踏まえ、対策を講じなければならないという注文だ。大統領選挙を控えて費用は隠して効果だけを強調するばらまき公約への批判の声もあがった。
10日から二日間行われる「2022経済学共同学術大会」(韓国経済学会と韓国国際経済学会主管)の資料によると、韓国銀行金融通貨委員を務めたハム・ジュンホ延世大学教授は11日、第2全体会議で「グローバル金融環境の変化と通貨・金融部門の政策課題」をテーマに発表する。ハム教授は事前に配布した発表文で「韓国のマクロレバレッジ(民間・政府債務)水準は最近、対国内総生産(GDP)比254%まで拡大した。家計や企業の債務がすでに限界値を超えたと推定される中で、政府債務も急速に増えており、対策を講じる必要がある」と診断した。韓国経済が2年間稼いだ所得をすべてつぎ込んでも、返し切れないほど債務の規模が大きく増えたという話だ。
不動産価格の下落がもたらす副作用も警告した。ハム教授は「コロナ危機にもかかわらず、住宅価格が主要国に比べて急速に上昇し、金融部門の不動産エクスポージャー(リスクにさらされている金額)が国内総生産に比べて120%にまで増加した。不動産景気が伸び悩んだ場合、住宅価格や負債調整による金融不安定につながる危険性が増した」と指摘した。さらに、米国の通貨政策転換は予想より早まる可能性があり、過去よりネガティブな影響が大きくなることも考えられると述べた。住宅価格のバブルが急激にはじけた場合、金融機関の健全性が脅かされるなど金融不良の危険性が拡大する恐れがあるという意味だ。
国策研究機関である韓国開発研究院(KDI)は、財政健全性や金融健全性の相関関係について分析し、対策を講じる必要があると提言した。KDIのファン・スンジュ・マクロ金融政策研究部研究委員は「最近、韓国の国債のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は低い水準を維持しており、デフォルト(債務不履行)の危険性を懸念するのは無理がある」としたうえで、「中長期的な観点では、政府債務の増加傾向と人口構造の変化による大規模な支出の拡大を考慮する際、財政健全性が低下する可能性が高い。金融健全性も弱まりかねないため、対策作りが求められる」と話した。「財政健全性悪化→国家信用格付けの下落→民間調達費用の増加→金融不良の可能性の増大」の悪い連鎖作用が生じる恐れがあるという警告だ。これに先立ち、昨年、国会予算政策処は少子高齢化現象と潜在成長率の下落などの影響で政府債務比率が20年後には現在より2倍(約100%)上昇するという見通しを示した。
3月の大統領選挙を控え、先を争って政府に「金融緩和」を求める政界に対する警告の声もあがった。ソウル大学のキム・インジュン名誉教授は、11日に発表する「韓国経済、危機かチャンスか」と題した基調演説文で、「コロナ禍に対処するため、拡張的財政の基調を続けるのは避けられない」としながらも、「国家債務が急速に増える状況で、韓国の政府債務は他のOECD諸国より低い水準だと主張し、政府が債務管理に対する長期的な青写真を打ち出せないのは問題」だと指摘した。
キム教授は「大統領選の政局が過熱する中、財政制約がないかのように、ばらまき公約が溢れている」とし、「一方がばらまき政策を掲げると、他方はより大規模のばらまき政策を示す。(このような)短期のポピュリズム政策は長期的に大きな副作用をもたらす」と主張した。先月、韓国政府が新型コロナ対応のために14兆ウォン(約1兆3500億円)規模の補正予算案を国会に提出したが、与党(少なくとも35兆ウォン)と野党(国民の力、50兆ウォン)が大規模な増額を求め、政府はこれに否定的な態度を示している状況に向けた発言だ。
ヤフーニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/86432d96d5caeebc17c0e74cee4de15ff72418ac