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「逆境は嫌いじゃない」SPまさかの8位…羽生結弦、フリーに仕込んだ“2つの最終兵器”と大逆転に向けたシナリオとは?
text by
野口美惠
Yoshie Noguchi
photograph by
JIJI PRESS
北京五輪のフィギュアスケート男子シングル。羽生結弦は冒頭の4回転サルコウが1回転になり、8位発進となった。予想されなかった大波乱。首位のネイサン・チェンとは18.82点差がついた。しかし羽生は諦めていない。この北京に爪痕を残すための「2つ」の最終兵器をフリーに入れることを決意した。羽生が描くシナリオとは――。
1000本跳んで1度の確率でさえ起きないアクシデント
2月8日の男子ショート、羽生は21番滑走で登場した。6分間練習では、美しい4回転サルコウを2度成功。「4回転トウループ+3回転トウループ」も軽やかに決め、好調ぶりを示していた。何より、羽生にとって「4回転サルコウ」と「4回転トウループ」で構成するショートは、鉄壁のプログラムだった。
本番、「序奏とロンド・カプリチオーソ」のピアノの音色に乗り、優雅に滑り出す。ツイズルからイーグル、ダブルスリーと、練習どおりの柔らかなカーブを描くと、フワッと跳びあがった。しかし羽生の身体は、時間が止まったように1回転し、着氷した。
「完璧なフォームで、完璧なタイミングで行ったら、跳んだ瞬間に穴に入ってて。トウジャンプの穴だったんで、仕方が無いです」
氷上にあったわずか10cmほどの穴に、幅2mmほどのブレードが入り込んでしまったのだ。1000本跳んで1度の確率でさえ起きないアクシデントが、五輪の舞台で起きるとは誰が想像しただろう。
「自分の感覚の中ではミスじゃないので、だからそのまま、全然気持ちは切れていませんでした」
===== 後略 =====
全文は下記URLで
https://number.bunshun.jp/articles/-/851993?page=1