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【音楽】「1曲で5千万円」株のように楽曲を取引 音楽界で過熱するNFT
昨年12月、ミュージシャンの坂本龍一が映画「戦場のメリー・クリスマス」のテーマ曲「Merry Christmas, Mr. Lawrence」のメロディー595音を1音ずつ分割し、1音あたり1万円の値段を付けて売り出した。するとすぐにアクセスが殺到し、ホームページのサーバーがダウンする事態となった。「海外からアクセスが殺到したのは予想を超えていた」とプラットフォームの担当者は話した。
これは、「NFT」と呼ばれる技術を用いて、デジタル上に半永久的に保有者や売買の記録が残るシステムで、坂本龍一は、NFTを扱うプラットフォーム「Adam byGMO」で販売した。
NFTを購入した際に得られる権利は、アーティストごとにさまざまで、単純に証明書と曲をダウンロードできる権利だけが受け取れる場合のほか、購入した作品を二次利用する権利、曲から生まれる収益の一部を得られるケースなどがある。いずれも、デジタル証明書によって、「一点もの」などの限定品であることが証明できる。
さらに、その作品に自分で値段を付けて転売することもでき、その際も取引額の一部はアーティストに入る仕組みとなっている。株のように、将来価値が上がるであろうミュージシャンの作品を購入しておき、高くなったときに売ることもできる。こうしたシステムは、CD売り上げが低迷する中で、アーティストの活動を支える収入源の新たな柱として期待される。
この10年あまりで、十数曲入りのアルバム1枚を数千円で買う時代から、1千円程度で数千万曲が聴き放題になるサブスクリプション(定額制)で音楽を楽しむことが、世界で主流となっていった。一方、アップルやアマゾンといった巨大資本によって運営されるサブスクが、アーティストに十分な利益を還元しているかどうかについては、依然として議論を呼んでいる。