阪神・及川「柳田カーブ」でローテ獲り！矢野監督が第1クールMVPに指名、8日の日本ハム戦先発へ

　先発ローテ入りを狙う阪神の左腕・及川が、矢野監督から第1クールの投手MVPに選ばれた。報道陣から“受賞”を知らされ、「これ以上うれしいことはない」と表情を緩ませた。

　3日のアピールが効いた。雨で中止になったシート打撃の代わりに、ブルペンで100球を投げ込んだ。

　「課題」とする内角を多く投げた。捕手に構える位置を細かく要求し、左右の打者のインコースを想定して投げた。目慣らしのために打席に入った佐藤輝の懐も突いた。

　「自分はゴロピッチャーなので、内角で詰まらせて打ち取りたい。カウントが苦しくなったらファウルも取れる」

　実戦を意識して腕を振る高卒3年目のサウスポーを、マウンド近くで見守った指揮官は、その意図をくみ取っていた。「これはストライク、これは空振りを取れる球といったように、一球一球、ただ投げるだけではないブルペンになってきた」。中継ぎで39試合に登板した昨季からの成長は、球種にも表れた。

　矢野監督は、先発に転向する上で不可欠と位置付けるカーブの精度アップを喜ぶ。昨年6月の交流戦で、ソフトバンクの主砲柳田から空振り三振を奪ったことから、「柳田カーブ」と命名していたことを明かし、「緩急が付けば幅が広がる。そのカーブを投げられたら」と期待を寄せた。150キロの直球と変化球で、将来は「歴代に名を残せるようなピッチャーになれる素材」と語り、03年に20勝を挙げた井川クラスになる青写真を描いた。

　今後は対外試合初戦となる8日の日本ハムとの練習試合（宜野座）で先発する見込み。22年の“開幕戦”であり、「ビッグボス」こと新庄監督の初陣でもある一戦。注目度は高い。「及川」の名前を売る絶好の機会だ。（倉世古　洋平）