『スクール革命!』アイドルファンのみならずお笑いフリークも見る理由

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『スクール革命!』アイドルファンのみならずお笑いフリークも見る理由

いろいろある

●13年目のゴールデン進出の意味とは
テレビ解説者の木村隆志が、先週注目した“贔屓”のテレビ番組を紹介する「週刊テレ贔屓(びいき)」。第209回は、1月28日に放送された日本テレビ系バラエティ番組『スクール革命! presents ムービークイズ! 時間よ止まれ』(19:00~ ※一部地域除く)をピックアップする。

今回は、放送13年目にして初のゴールデン特番。関東ローカルながらエンタメ性の高い企画が多く、同番組の視聴者層はアイドルファンに留まらず、業界評価も高い。13年目のゴールデン進出にはどんな意味があるのか。

○■番組冒頭「関東ローカル」の紹介

番組開始早々、今回MCを務める山田涼介が「いきなりですが問題です。時間よ止まれ!」と出題をはじめ、内村光良山崎弘也らを「もう行くの?」と驚かせた。

最初のクイズは「超リアルな鉛筆画クイズ 誰を描いている?」で、問題を進めながら、「各チーム300ポイントが与えられ、1秒ごとに1,000ポイントが減っていき、残ったポイントに応じた豪華賞品がプレゼントされる」という特番全体の趣旨を発表。

さらに、豪華賞品の一覧が映し出されたが、旅行、家電など、出演者の希望を踏まえてラインナップされていた。ちなみに最高の290ポイントは「世界一周旅行3人分」だったが、これは100%不可能であり、最低の1万ポイントは「高級フルーツセット」。

1問目の正解が佐藤健であることが発表されたあと、山田が「ご存じない方もいらっしゃると思うんですけど、どうも。日曜お昼に関東ローカルでひっそりとやらさせていただいております『スクール革命!』です。よろしくお願いします」とわざわざ視聴者に語りかけた。

その際、画面下部に「毎週日曜日ひる11:45~放送中! (日本テレビ福島中央テレビ山梨放送)」というテロップが表示。関東の人は「エッ? この番組、それだけしか放送していなかったんだ」と驚いた人も多かったのではないか。実際、遅れネットは10局ほどあるが、関西地区や東海地区などでは放送されていない。今回の特番は、この状態が変わる1つのきっかけになるのだろうか。

続いて各チームの紹介があり、内村チーム(内村光良若林正恭、生見愛瑠)、春日チーム(春日俊彰朝日奈央、高橋ひかる)、Hey! Say! JUMPチーム(知念侑李、八乙女光、高地優吾)の組み分けを発表。

サポートMCの陣内智則ゲストの映画『ノイズチーム藤原竜也伊藤歩山崎弘也を紹介したが、前に出たのはほぼここだけであり、あとはその姿すらめったに映らず、クイズを進行する声のみの出演に近かった。何とも贅沢な起用法だが、タレントに忖度せず視聴者目線で割り切った演出が素晴らしい
○■「そらジロー」が「佐藤二朗」に変化

2問目は色鉛筆に変わった「超リアル色鉛筆クイズ 誰を描いている?」で、正解は星野源。3問目はローラーで描くスゴ技アートクイズ「誰を描いているでしょう?」で、正解はジョニー・デップ

4問目は画像加工ムービークイズ「誰に変化している?」で、正解は生見愛瑠。レギュラー出演者の生見本人が「私」「この口見たことある!」と答えたが、この自由なクイズ構成こそ『スクール革命!』の持ち味だ。

5問目も同じクイズで、正解は安田大サーカスクロちゃん。6問目も同じクイズで、正解はまたも出演者の藤原竜也。このクイズで苦戦する姿を見た藤原本人から「内村さんを見ているのが面白かった」とイジられた内村は「俺は笑われたくないんだ。笑わせたいんだ!」と熱弁して笑わせた。普段から大物MCの内村が解答者になり、後輩芸人やアイドルたちに混じって全力で答えることで、日曜昼の放送に合う牧歌的なムードを作り出している。

7問目も同じクイズで、正解はMatt。「お多福のお面から“白塗りつながり”でMattの顔に変わる」という面白クイズで、当番組らしさが濃くなってきた。さらに8問目も同じクイズで、正解は佐藤二朗。そらジローから佐藤二朗という“じろうつながり”だった。

9問目は衛星カメラクイズ「どこの都道府県?」で、正解は千葉県。10問目も同じクイズで、正解は埼玉県。しかし、映像の中に「春日家御用達のケーキ屋さんをまぎれ込ませ、オードリーマニア高橋ひかるがすぐに答える」という遊び心で視聴者を退屈させない。

11問目も同じクイズで、正解は北海道。12問目は衛星カメラクイズ「どこの国?」で、正解はフランス。13問目も同じクイズで、正解はオーストラリア。ここで山崎が「ボタンを強く叩きすぎた伊藤歩がその力でテーブルをかなり下まで押し下げてしまった」ことを鋭く指摘する。当番組の山崎はボケを重ねるだけでなく、出演者全員にツッコミ続けるなど、もしかしたら最もザキヤマらしさを感じさせる番組かもしれない。

14問目も同じクイズで、正解はイタリアだったが、高橋ひかるが「ロンドン」、朝比奈央が「ヨーロッパ」のおバカ解答でたたみかけた。この答えが本気か作為かは分からないが、彼女たちがなぜレギュラーに起用されているのかの理由がうかがえる。歴代女生徒には、関根麻里、優木まおみ平愛梨、渡辺直美、橋本環奈らがいるが、「いかにスタッフが的確なキャスティングをしてきたか」が分かるのではないか。

ゴールデンで「ゆってぃ」をかぶせる
15問目はドローンカメラクイズ「これは誰の家?」で、正解はまたもMatt。普通の番組ではありえないこんなかぶせ方も『スクール革命!』のお約束だが、Twitterなどネット上の動きが伸びやすいところだけに、もっと増やしていいのかもしれない。

16問目も同じクイズで、正解はココリコ・遠藤章造。17問目は他チームポイントを獲得できる横取りチャンスムービー「VRアートで描いているのは何?」で、正解はペガサス。18問目は工場ムービークイズ「何を作っている?」で、正解は春巻き。19問目も同じクイズで、正解はスーツケース。20問目も同じクイズで、正解はタピオカ。21問目も同じクイズで、正解は柔道着。22問目も同じクイズで、正解は東京オリンピックの表彰台だった。

このあたりは「ファミリークイズを楽しんでもらおう」という意思を感じられるイージークイズであり、普段この時間帯で放送されている『クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?』の視聴者層を踏まえたのではないか。

23問目は「360カメラで撮っているのは誰?」で、正解は荒川静香。24問目も同じクイズで、正解は成田凌。翌日放送のドラマ番宣絡みだったが、内村は「出てくる人がゴールデンは違うね。(普段のように)ゆってぃじゃないんだね」と苦笑い。山崎が「われわれの頭の中に(成田凌さんは)いないのよ」と話を広げると、画面に「普段出ている面々」として、琉球トム・クルーズ、ゆってぃ、Yes!アキト、コネオ・インターナショナルの顔が表示された。熱心な『スクール革命!』ファンなら、「これはフラグかも」と思ったのではないか。

25問目はスカイダイビングムービークイズ「飛んでいるのは誰?」で、正解は南海キャンディーズしずちゃん。26問目も同じ問題で、正解はゆってぃ。やはりと言うべきか、レギュラーメンバーは全員すぐに答えられたが、藤原竜也伊藤歩はなかなか答えられず。令和の今、ゴールデンのド真ん中で、ゆってぃをかぶせられる番組はめったにないだろう。これこそHey! Say! JUMPファンだけでなく、お笑いフリークたちも当番組を見る理由かもしれない。

27問目は「コナンの声をやってるのは誰?」で、正解はジャングルポケット斉藤慎二。28問目も同じクイズで、正解はアンミカ。29問目は再び横取りチャンスムービーHey! Say! JUMP3人が高難度ダンスに挑戦し、ミスの少ない人を当てる」で、正解は知念侑李の2回。ちなみに山田涼介は3回、八乙女光は14回だった。

これは「3時間でフリを覚えて実演する」というチャレンジ企画だが、アイドルファンへのサービス企画でもあるのだろう。かつて当番組は毎週Hey! Say! JUMPらの歌唱コーナーがあっただけに、それを思い起こさせた。
○■『いいとも』を思い出す番組のムード

30問目は再び「360カメラで撮っているのは誰?」で、またも朝日が「Matt」と答えて笑いを取る中、正解は藤田ニコルで、すべてのクイズが終了。85万7,000ポイントを残したジャニーズチームが優勝し、八乙女が「最新タブレット(15万ポイント)」、知念が「高級包丁セット(30万ポイント)」、高地が「最新ノートPC(30万ポイント)」と、それぞれほしい賞品を獲得した。

最後に映画『ノイズ』の番宣があって番組は終了。アフタートークはゼロであり、クイズをギリギリまで詰め込もうとした様子がうかがえる。2時間の放送で30問もの映像クイズテンポよく見せていく構成は実に見やすく、ザッピングを防いでいたのではないか。

今回は初のゴールデン特番だったが、「学校をモチーフにした番組」「担任が内村先生で、生徒がレギュラー出演者」「週替わりゲストの講師がクイズトークを進行していく」という通常放送のコンセプトに触れることはほとんどなかった。たとえば、なぜ出演者たちが学校の制服姿なのか、分からなかった人もいるだろう。

しかしその一方で、“スクール革命!メモ”として「山田涼介ポンコツ扱い」「内村と春日は類似タレント扱い」というテロップを表示するなど、笑いのフォローはきっちり入れていたのが印象的だった。

ちなみに視聴率は個人6.8%・世帯10.5%と、前4週平均をそれぞれ0.5ポイント上回る上々の結果(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。この結果なら次回のゴールデン特番を避ける理由はなく、次回はさらに演出と構成作家が遊び心を効かせた当番組らしさを見せてくれるのではないか。

大物MCを中心に芸人やアイドルが集い、牧歌的なムードでゲームを繰り広げる。しかもMCは進行ではなく解答者側に回っていて……日曜の放送だが、のんびり時間が流れる昼の番組ということもあり、『スクール革命!』を見ていると、ときどき笑っていいとも!』を思い出してしまう。

だからこそ年2回程度ゴールデン特番で見る分にはいいが、「もしゴールデンレギュラー帯に移動したら……」と思うと不安を感じてしまう。放送13年弱で培ってきた貴重な財産をどう使っていくのか。Hey! Say! JUMPの3人がアラサーになったこともあり、日テレとしても難しい決断なのかもしれない。
○■次の“贔屓”は……物議を醸したコンビニ編以来のジャッジ企画『ジョブチューン

今週後半放送の番組からピックアップする次回の“贔屓”は、5日に放送されるTBS系バラエティ番組『ジョブチューン~アノ職業のヒミツぶっちゃけます!』(18:51~ ※一部地域除く)。

次回の放送は、「イオン×超一流料理人&イオン本社・ダイソー本社に突撃訪問!」。イオンの惣菜を超一流料理人が判断するジャッジ企画、イオン本社とダイソー本社を突撃する企画の2本立てで放送される。

ジョブチューン』と言えば、元日に放送されたコンビニジャッジ企画で物議を醸したばかりであり、同企画はそれ以来の放送。「料理人が食べずに判定しようとして開発担当者を泣かせてしまう」という強烈なシーンに批判が殺到していたが、何らかの変化は見られるのか。

予告VTRでは「イオンコンビニ超えできるのか?」というあおりフレーズが見られるだけに、今後の企画続行を占う意味も含めて注目しておきたい。

木村隆志 きむらたかし コラムニスト、芸能・テレビドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月30本のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組にも出演。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもある。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』など。 この著者の記事一覧はこちら
(木村隆志)

画像提供:マイナビニュース

(出典 news.nicovideo.jp)

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