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日本・グアム狙うミサイル量産か 北朝鮮「宇宙撮影」演出も
北朝鮮は31日、中距離弾道ミサイル「火星12」の発射を発表した際、火星12の生産・配備に言及し、日本や米領グアムを狙ったミサイルが量産体制にあることを示唆した。年明け早々、短距離弾道ミサイルの相次ぐ発射に続いて火星12の発射に踏み切ったことで、ICBM発射も時間の問題だとバイデン米政権に圧力をかける意図が読み取れる。
北朝鮮国営メディアは、1月30日に火星12の「検収射撃試験」が行われたと伝えた。検収射撃とは、生産・実戦配備されたミサイルを抜き打ちで試し撃ちすることを指し、火星12が既に量産・配備されていることが前提となっている。
兵器開発を担う国防科学院に加え、兵器生産など軍需部門を担当する第2経済委員会などの計画に基づく試射だった点も言及した。
火星12が前回発射された2017年9月には、視察した金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長(当時)が「(火星12の)戦力化が実現した」と強調した。その後のICBM発射で「国家核戦力の完成」を宣言し、18年から米韓への対話攻勢に転じた。ICBMの発射凍結も表明したものの、その裏では、日本を脅かす兵器の生産が着々と進んでいた実態を物語っている。
国防科学院は、火星12の弾頭に取り付けたカメラによって「宇宙で撮った地球画像」だとする写真も公開した。弾頭の大気圏再突入成功を印象付ける狙いがうかがえる。北朝鮮は米本土に届くICBMを開発しても、弾頭を着弾させるための大気圏再突入技術を獲得できたのかが不明だった。
ただ、韓国の専門家は今回の画像に関して、ミサイルが大気圏を出る手前の高度50~60キロを上昇中に撮影された可能性を指摘。大気圏外を演出しただけの疑いも持たれている。
北朝鮮は火星12を「中長距離弾道ミサイル」と表現し、ICBMに近いタイプに位置づけているようだ。17年には火星12を北海道上空を横切る形で発射し、前後してICBM「火星14」も発射。今回も同様に日米韓への軍事的示威のレベルを引き上げていく事態が警戒されている。
北朝鮮は今回、高角度の発射で飛距離を抑える「ロフテッド軌道」で打ち上げたことについて「周辺国の安全を考慮した」と主張。朝鮮人民軍が4発の火星12をグアム沖に打ち込むと脅迫した17年の状況とは違い、国際社会への刺激を抑えて米中などの出方を探る姿勢ものぞかせている。(ソウル 桜井紀雄)
2022/1/31 21:02 産経新聞
https://www.sankei.com/article/20220131-6CZQDPC7CNKWPA6PQHNXYMHOF4/