あわせて読みたい
〝二刀流〟大谷翔平は“メガスター”であるべきだが、今はまだ普通のスターだ
だから野球界の人は知っているけど、それ以外はそれほどでもない。彼はアメリカスポーツ界でメガ(特別大きい)スターであるべきだが、今はまだ普通のスターだ」と指摘していた。
【まとめ】大谷翔平の軌跡 MLB編
これは人気面でのMLBのアキレス腱である。NFL球団の公式戦数17試合、NBAの82試合に比べると、MLBは162試合で、チケット売り上げ総数では圧倒している。そしてテレビについては、放映権を地元テレビ局に売り、地元のプライムタイムに合わせて試合を行うため、それぞれの地区では絶対的な人気を得られるが、ほかの地区では露出の機会が極端に少ない。
全米中継の試合数は限られていて、たまにスポーツ専門局のESPNなどで放送されても、西海岸の午後7時プレーボールは、東海岸の午後10時のため、家族みんなで楽しめない。
一方、NFLやNBAは全米中継の試合数が比較的多く、少なくとも公式戦の4分の1くらいは見ることができる。おかげで、トム・ブレイディ、レブロン・ジェームスなど両リーグのトップスターは全米に遍くファンがいて、国内での知名度がとても高い。
野球のマイク・トラウトは3度MVPを獲得し、2人に負けない実績の持ち主なのだが、エンゼルスの4分の1の試合を見られるのは全米の1パーセントのマーケットに過ぎず、人気や知名度でかなわないのである。
現在、MLBはロックアウト中でオーナーと選手会がパイ(収益)の分配でもめているが、そんなことで喧嘩(けんか)をしているくらいなら、もっと野球そのものの人気を高める努力に専念すべきだと思う。どうすればトラウトや大谷のような魅力的なアスリートを全米の人気者にできるかである。
加えて試合時間が長く、テンポも悪いと言われる球技をいかに若い世代を惹きつけられる娯楽に再生させていくかだ。ワールド・シリーズ中、MLBの野球運営部門のトップで、マイナー・リーグでルール変更の実験に取り組むモーガン・スォードさんにインタビューする機会があった。
21年の最大の成果はピッチクロックを15秒(走者がいるときは17秒)にし、試合時間を平均21分も短縮できたこと。さらにけん制球の回数を制限し、ベースのサイズを大きくすることで、積極的な走塁を促し、走者と野手の接触によるケガも未然に防げたこと。
彼は「選手が高い身体能力を発揮しやすいゲームに変えていきたい。同時に野球というゲームのエッセンスを失わないようにも気を配っている」と実験の方向性を説明する。
さらに彼が頭を捻るのはハイパースぺシャリゼーション(過度な専門化)対策だ。先発投手が短いイニングで交代し、次々にリリーフ投手が出てくる野球では、ファンは特定の選手に感情移入しにくい。
「選手がより長く試合に出る方が、ゲームにとって良いと考えている」と言う。収益を巡る争いを早く終わらせないと、ファンに愛想をつかされ、パイそのものが小さくなってしまうだけなのである。
https://news.yahoo.co.jp/articles/540b6feb6ffa549c6b05a8e28753133eb713d0ca