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【値上げとKの法則】「イカゲーム」以降はネトフリ失速、会員数伸び悩む…市場に衝撃「具体的な原因分からない」
「会員獲得数がコロナ前の水準まで回復しない。競争による影響があるのかもしれないが、(原因は)具体的には分からない」。ネットフリックスのスペンサー・ニューマン最高財務責任者は20日の決算会見で、今後の見通しについてこう語った。
同日に発表した2021年10~12月期決算は、売上高が約77億ドルで過去最高となるなど好調だった。韓国ドラマ「イカゲーム」の大ヒットもあって、世界の有料会員数は約830万人増え、約2・2億人に達した。日本でも会員が大幅に増えたという。
しかし、今年1~3月期の会員増加が250万人にとどまるとの同社の予測は、アナリストの予想(580万人増)を大幅に下回り、市場に衝撃を与えた。21年1~3月期の約400万人増と比べても見劣りする。市場から今後は高い成長が見込めないとみられ、翌21日に同社の株価は20%超も値下がりした。
アマゾンやアップルなど強力なライバル
動画配信市場には、IT大手アマゾン・ドット・コム、アップルといった強力なライバルがひしめく。競争が激化しており、他社にも成長鈍化の兆候が出ている。
娯楽大手ウォルト・ディズニーは動画配信サービス「ディズニー+(プラス)」で1億人超の会員を抱えるが、昨年7~9月期の会員の伸びは約200万人増にとどまった。4~6月期は約1200万人増だっただけに、減速ぶりが目立った。
米調査会社フォレスター・リサーチのアナリスト、マイク・プルー氏は「コロナ禍以降、各社とも独自番組の制作に力を入れ、市場が飽和状態になっている。消費者の選択肢が増えた結果、選別が進んでいる」と話す。
強気の姿勢崩さず
ネットフリックス創業者で共同CEO(最高経営責任者)のリード・ヘイスティングス氏は20日の決算会見で「成長の鈍化は残念だ」としつつ、既存のテレビ放送から視聴者が移行し、市場が拡大するため「動画配信はエンターテインメントのすべてになる」と強気の姿勢を崩していない。
同社は今月、北米で月額利用料を約1割値上げした。動画制作への投資を充実させて競合に差をつける狙いだが、利用者が離れる可能性もある。
プルー氏は「番組視聴の未来は動画配信にあると多くの人が考えているが、今後会員を増やすにはゲームや他のサービスとのセット販売などで付加価値を高める必要がある」と指摘する。