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なぜ城彰二は清水商との激闘の後、応援席からの一言に号泣したのか。涙ながらに回顧「やばいぐらい想いが…」
いつもは冗談を交えながら明るくエピソードを回想する城氏が、思わず涙を流しながら語ったのが、ある部員との秘話だ。
前園真聖や遠藤保仁、松井大輔など、数多くの名手を輩出している名門・鹿児島実には、3年生が1年生の面倒を見る「1年生指導」という役割があったという。
「それを監督じゃなくて、選手たちで決めなきゃいけなくて。その役になった人は、その時点で選手権を諦めなきゃいけない。自分はキャプテンで、副キャプテンやその他のリーダーと相談しながら見切りをつけなきゃいけなかった。それがものすごく大変だった。伝統校にはその役割も重要なんだけど、『なんで俺なんだよ』『ふざけんなよ』『俺だってレギュラーを目指したい』となってしまう。当然だと思う」
「辛かった」という城氏は、悩み抜いた末に、明るくて後輩からも慕われていたトモヨセという同級生に、「1年生指導」のリーダーを打診した。
「トモヨセ、頼む。何とか1年生を育ててくれと話をしたら、はじめは『嫌だ』と言われた。ただ、想いを話したら、『分かった。俺はサッカーを諦める。1年生を育てるよ』と言ってくれた」
そう話すと、城氏は「やばい泣きそうだ」と言ってハンカチを手に取り、目頭を押さえ、少し声を震わせながらこう続けた。
「彼が一言、『絶対に国立へ連れて行け。これは約束だ。そしたら自分も(1年生指導を)やって良かったと思える』と。そう言ってくれた」
「絶対に国立に連れて行かなきゃいけない」との想いで、エースとして、キャプテンとしてチームを牽引した城氏は、1993年度の選手権(第72回大会)で鹿実をベスト4進出に導き、国立行きの約束を果たす。
そして、準決勝ではGK川口能活を筆頭に、DF田中誠、MF佐藤由紀彦、FW安永聡太郎らを擁す清水商と対戦。歴史に残る死闘を演じるも、2-2で突入したPK戦で敗れ、決勝進出の夢は潰えた。それでも、負けた直後は、キャプテンとして泣き崩れるチームメイトたちに声を掛け、「涙は出なかった」という。
ただ、スタンドへ挨拶に行った際、涙腺が崩壊する出来事があった。城氏は「トモヨセが目の前にいて、応援団長みたいなのをやってくれていて、『約束を守ってくれて、ありがとー』と言ってくれた。そう言われた瞬間に大号泣だよ。そう言ってくれて、良かったという想いがすべて出ちゃった」と振り返っている。
「いまでも、この思い出はやばいぐらい想いが込み上げてくる」という貴重なエピソードに、感動した視聴者も少なくなかったのではないだろうか。
https://news.yahoo.co.jp/articles/7b50deac5c88c9ec57b451103626b61c590fad1d
【仲間との約束】国立への熱い想い、ベンチに入れない選手の物語、清水商業とのPK戦。
https://youtu.be/EJ1N0aFAGk8