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北京五輪参加者に〝肛門PCR検査〟強制実施か?
以前、日本やアメリカの外交関係者が巻き込まれて抗議したこともあるが、肛門PCRは中国ゼロコロナ政策の重要な柱になりつつある>
中国の保健当局は新型コロナウイルス感染症を検知するために、賛否はあるがより正確な結果が得られる、
肛門から検体を採取するPCR検査(肛門PCR検査)の導入を指示している。
冬季五輪の開催を控えた北京市で、1月19日までに、感染力の高い変異ウイルス「オミクロン株」への感染者3人が確認されたことを受けての措置だ。
北京では15日に、オミクロン株の初の感染者が確認された。北京市政府系メディア「新京報」によれば、
感染が確認された女性が暮らしている共同住宅では、少なくとも27件の肛門PCR検査が実施された。
中国では2020年から、北京や上海をはじめとする主要都市で肛門PCR検査が導入されてきた。
北京では昨冬、数百万人の市民に対して、鼻や喉から検体を採取して行う検査や抗体検査と組み合わせて、肛門PCR検査が実施された。
肛門PCR検査は、より大規模なクラスターを追跡する上では実用的ではないとされている(数人分の検体を一度に検査する「プール方式」の方が適している)が、
より正確な検査結果が得られると考えられている。
北京佑安医院の感染症専門家である李侗曾は2021年1月、国営テレビの中国中央電視台(CCTV)に対して、
肛門PCR検査は無症状や軽症の感染者を検知するのに効果的な方法だと語っていた。
無症状や軽症の感染者は比較的回復が早いため、「感染から3~5日が経過すると喉にウイルスの痕跡が残っていない可能性がある」と彼は述べ、
「一部の感染者については、気道にウイルスの痕跡がなくなった後も、消化管や排泄物の中にウイルスが残ることが分かっている」と説明。
肛門PCR検査は不快感を伴うものの、ウイルスの検出率がより高くなり、感染者の見逃しを減らせる可能性があると述べていた。
本誌は今回、改めて李にコメントを求めたが、返答はなかった。
2021年前半には、アメリカと日本の複数の外交官に対して、この肛門PCR検査が実施され、心理的な苦痛が大きいとして中止を求める声も上がった。
しかし中国では、「ゼロコロナ政策」を維持する上で、同検査が重要な役割を果たしている可能性がある。
2021年12月には、深圳市第三人民医院(広東省)の蔡侃儒をはじめとする計8人の医師が、
中国の医学雑誌に論文を発表。肛門PCR検査を支持し、広く導入するよう提言した。
彼らは症状のある患者31人から採取した46の検体を比較。その結果、鼻から検体を採取する検査方法は、感染後の全経過において、新型コロナウイルスの検出率が低かった。
感染後16日以降に実施したPCR検査では、肛門からの検体採取検査で陽性反応が出た患者のうち、鼻からの検体採取検査で陽性反応が出た人は28.6%と、3分の1に満たなかった。
「感染者の隔離解除の基準を決める上で、気道からの検体採取による2回の検査で陰性を確認するほかに、
肛門からの検体採取による検査での陰性確認も重要な参考データとして取り入れるべきだ」と論文は結論づけている。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2022/01/post-97896.php