阪神・岩崎　緊急事態救って！　金村投手コーチが守護神起用を明かす

コロナ禍でのピンチを救ってくれ！　阪神・岩崎優投手（３０）が今季を守護神としてスタートすることが２４日、濃厚となった。甲子園クラブハウスを訪れた金村暁１軍投手コーチ（４５）が明言した。新型コロナウイルス感染拡大で新外国人のカイル・ケラー投手（２８）＝前パイレーツ＝の来日のメドが立たないため。セットアッパーには岩貞祐太投手（３０）が計算される見通しだ。

現実を直視する。新型コロナウイルスの感染再拡大に歯止めがかからない。〝ポスト・スアレス〟の見通しが立たないまま、球春到来を迎えるわけにはいかない。ブルペンを預かる金村１軍投手コーチは苦渋の表情を浮かべながら、アウトラインを明かした。

「スアレスがいないし、新外国人もいつ（日本に）来られるか分からない状況だから。普通に考えると（岩崎）優になる」

３月２５日のヤクルトとの開幕戦（京セラ）は刻一刻と迫る。昨季４２セーブを挙げて２年連続で最優秀救援投手に輝いたスアレスが退団。最速１５７キロの右腕、ケラーを年俸１１０万ドル（約１億２５００万円）で獲得し、矢野監督も「できそうな感じはある」と代役候補に指名したが、ここにきて、まさかの暗雲だ。

岩崎とケラーを守護神の座を競わせるはずが、その勝負さえできない。新外国人の入国制限が解かれる見通しはなく、現状では開幕守護神として岩崎を計算するのみだ。

昨夏の東京五輪で日本代表に選ばれた岩崎は確かに実績がある。昨季は６２試合に登板し、３勝４敗１Ｓ、防御率２・６５。夏には五輪期間中の一時帰国などで調整が遅れていたスアレスに代わり、初セーブを挙げた。１５日に沖縄・宜野座で自主トレを公開後、オンライン取材で「どこでもやることは変わらない」とポジション不問を明かした中、金村コーチは「必然的にそう（抑えは岩崎と）なるし、現状でいけば」と期待する。昨季、リリーフ転向後、結果を残したアルカンタラと中継ぎで奮闘した今季高卒３年目の及川はともに先発に配置転換されることが決まっており、オミクロン株という変異株の出現で状況は一変。岩崎に抑え役がまわってきた。

〝ポスト岩崎〟は岩貞が務めることになりそうだ。金村コーチは「セットアッパーで八回の１イニングを投げるセットアッパーとして期待している。そこをつかみ取ってほしい」と話した。昨季、中継ぎで４６試合に登板も防御率４・６６と不安定さが目立った左腕は、甲子園室内で汗を流した後、「勝ちパターンで投げるということしか頭にない」と力を込めた。

岩貞から岩崎へ－。八、九回と左腕が続くことも、実戦に入ってからテストするしかないだろう。矢野監督にとって単年契約で臨む勝負の４年目。ケラーが来日できたとしても、すぐに１軍登板というわけにはいかない。今季は延長１２回制に戻る見通しで、より投手陣の役割が大事になる。

開幕ダッシュができるかどうか。勝率５厘差に泣いた昨季から、巻き返し、悲願のリーグ優勝へ。守護神としてスタートする岩崎の適応力にかかっている。（三木建次）