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【ほんとうに風邪と変わらない?】医師が現場で見たオミクロン株、油断できない特徴
新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」は無症状や軽症が多いとされるが、実際はどうなのか。コロナの初期段階から患者を診てきた九州の医師に尋ねると、現場の実感としてオミクロン株による症状は「ほとんどが軽症」「風邪と変わらない」とうなずいた。ただ、今は若者中心の感染が高齢世代にも広がれば、重症化する人も増える恐れがあり、油断しないよう呼び掛けている。
「これまでと全く違う。風邪症状の人がほとんど。インフルエンザの軽いものと言ってもいい」。「まん延防止等重点措置」が適用された長崎県内の患者の症状を、日本感染症学会理事の迎寛・長崎大教授はこう表現した。
県南部の患者については、同大病院の医師が入院が必要かどうかを判断する仕組み。患者の大半が無症状か、症状があっても発熱や咽頭痛、鼻汁、関節痛などの軽症という。これまで特徴的だった嗅覚や味覚障害はほとんどない。20日現在、県内の入院患者139人のうち人工呼吸器が必要な重症者はいない。
病床使用率が比較的低い福岡県も状況は似ている。30床中20床が埋まっている九州医療センター(福岡市)でも、入院しているのは妊婦や乳児、透析患者など。喉の痛みで食事ができず、点滴を打っている人が多い。野田英一郎・救命救急部長は「軽症が9割以上で、治療は解熱剤や点滴などの対症療法が中心。入院は増えてきたが、医療現場への負荷は以前ほどではない」。
ただ心配なのは、感染者が増え続けること。流行が先行し、人口当たりの感染者数が最多の沖縄県では、新規感染者数に占める60代以上の高齢者の割合が徐々に上昇。今月1日の週が6・5%、8日の週8・2%、15日の週14・2%といった具合だ。長くゼロが続いた重症者数も20日までに6人になった。
無症状や軽症が多いため本人が感染に気付かないまま、感染を広げている可能性もある。高齢者にも及べば重症者が増えて、医療逼迫(ひっぱく)につながりかねない。
西日本新聞 2022/1/23 6:00
https://www.nishinippon.co.jp/sp/item/n/865802/