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貧困はどこまでも連鎖する…親の低学歴が招く「子の代まで低学歴で低収入」という悲劇
(出典:幻冬舎ゴールドオンライン) |
貧困(ひんこん、英語:poverty)は、貧しく困る様を表す形容動詞。「貧困生活」・「発想が貧困になる」など。本項では主に経済学と生活史的な貧困について言及する。 貧困とは状態であり、基準(定義)の定め方により貧困か否かその程度が異なったものと評価される。絶対的な基準を定める場合もあれば、相対的な基準を用いる場合もある。
48キロバイト (7,171 語) – 2021年12月23日 (木) 23:26
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幻冬舎2022.1.20
https://gentosha-go.com/articles/-/40315
オミクロン株の感染拡大により、コロナ禍がいつまで続くか、依然として不透明な状態が続きます。その影響で貧困に苦しむ人たちが増加していますが、内閣府の調査から「貧困は連鎖する」という実態が浮き彫りになりました。みていきましょう。
■「親の学歴」によって生じる「収入格差」の実態
昨今、よく耳にする「貧困層」という言葉。正確には相対的貧困層と呼ばれ、等価可処分所得(世帯の可処分所得を世帯の人数の平方根で割ったもの)が中央値の半分に満たない世帯とされています。
単純に「可処分所得の中央値の半分以下」と考えた場合。たとえば厚生労働省『令和2年 賃金構造基本統計調査』から算出すると、年収は額面200万円、手取り163万円程度になります。また内閣府による『令和3年 子供の生活状況調査の分析』では、等価世帯収入の中央値は317万5,400万円なので、貧困層は158万7,700円以下の世帯となります。1ヵ月あたり13万円程度。この金額で食べていかなければならない……これが日本の貧困層の実態です。
前出の内閣府調査によると、「父母のいずれも大学またはそれ以上の学歴」だった場合の貧困率は3.9%、「父母のいずれかが、大学またはそれ以上の学歴だった場合」の貧困率は6.4%、「その他の場合」の貧困率は19.0%でした。
父、母別に最終学歴ごとの貧困率をみていくと、母親の最終学歴が「大学またはそれ以上の場合」は4.6%、それに対して「高校卒」の場合は19.7%、「中学卒」の場合は40.6%。父親の最終学歴が「大学またはそれ以上の場合」は5.3%、「高校卒」の場合は14.1%、「中学卒」の場合は33.3%でした。親が高卒か、それとも大卒以上かで、貧困率に3倍以上の差が生じています。
また前出の厚生労働省の調査によると、最終学歴が高校の場合の基本給月額は平均27万4,000円。それに対して大卒の場合は、36万2,900円。毎月9万円程度の差が生じています。さらに賞与を加えた年収では、高卒の場合は395万6,000円に対して、大卒の場合は558万2,000円。その差、150万円以上。月収以上の差がついてしまいます。
「世の中、学歴ではない」とはよく言ったもので、実際、大学に入っていなくても成功している人はもちろんいます。しかし学歴が高いほど収入が多く、貧困とは遠い関係にあるというのが、圧倒的な事実です。
■収入格差による教育格差…貧困の連鎖が止まらない
貧困は、子どもの将来を左右することが想像できます。前出の内閣府の調査では、「子どもが将来どの段階まで進学すると思うか」を尋ねています。それによると、「大学またはそれ以上」が50.1%。日本の大学進学率は50%超ですから、それに近しい数値です。「短大・高専・専門学校まで」が19.7%、「高校まで」が16.3%、「中学まで」が0.5%となっています。
収入別にみていくと、中央値以上では「大学またはそれ以上」が67.2%に対し、貧困層では25.9%。最も高いのは「高校まで」で37.5%でした。
その理由をみていくと「進学希望・展望が高校まで」で最も多いのが「子どもの学力から考えて」で47.6%。「子どもが希望しているから」が32.1%、「家庭の経済的な状況を考えて」が30.5%。一方、「大学まで」で最も多いのは「子どもが希望しているから」で60.2%。「一般的な進路だと思うから」が38.0%、「子どもの学力から考えて」が33.6%。経済的な理由をあげたのはわずか5.7%でした。
また収入別にみていくと、中央値以上では「子どもの学力から考えて」が最も多く58.4%、「子どもが希望しているから」36.6%と続きます。一方で貧困層では「家庭の経済的状況を考えて」が最も多く44.4%。「子どもの学力から考えて」37.9%、「子どもが希望しているから」32.3%と続きます。
「親の学歴が低い」→「収入が低い」→「経済的理由で子どもが進学できない」→「子どもも学歴が低い」……。まさしく貧困の連鎖です。
ソーシャルワーカーの配置や無利子の奨学金、こども食堂での学習支援など行政や民間団体などが協働して、貧困からくる教育格差是正を図る取り組みはさまざま行われています。しかしこの不幸の連鎖を断ち切ることは容易ではありません。生まれた環境ですべてが左右されない社会の実現に向けたハードルは、あまりにも高いものがあります。
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(出典 ggo.ismcdn.jp)
★1が立った日時・2022/01/20(木) 22:13