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コラム「大塚浩雄のC級蹴球講座」
W杯アジア最終予選の中国、サウジアラビア戦に向け、日本代表が1月17日から千葉県内で始動した。今回は国内組19人によるコンディション調整および新戦力発掘合宿。久々に報道陣に全面公開となったので、今回と次回のC級蹴球講座は合宿の内容をリポートしたい。
初日から3日間通ったが、3日目の練習で攻撃に重点を置いたメニューが用意されていた。大迫、武藤、上田、荒木の4人をトップに指名。攻撃側2人がDF1人を相手にダイレクトでパス交換しながら、マークを背負った1トップに縦パスを入れ、そこから攻撃3人対守備2人による攻撃練習が始まった。
その後、縦80、横68メートルの変則ピッチで10人対10人+GKのゲームが行われた。自陣と相手陣内で5人対5人に分かれ、自陣にいる攻撃側のDF5人はダイレクトパスでポゼッションし、相手陣内にいる味方に縦パスを入れる。そこから先は攻撃陣5人がフリータッチで相手ゴールを狙う。素早いパス回しでポゼッションし、ワイドにボールを動かしながら、前線の味方に縦パスを入れる。パスが通らずにボールを失った時、さらにボールを奪った後の攻守の切り替えを厳しく要求。リスク覚悟で縦に速い攻撃を求め、同時にリスク管理も求める。
森保ジャパンの得点力不足は深刻だ。アジア最終予選6試合でわずか5得点。B組6チーム中5番目。得失点差+2はサウジアラビア、オーストラリアに次いで3番目。グループ2位ではあるが、得失点差の争いになれば3位に落ちる可能性もある。
最終予選に入って相手のプレッシャーが厳しくなり、トップの大迫が孤立し、いい形で縦パスが入らなくなっている。また、いい縦パスが入らないがゆえにバックパスや横パスが多くなり、攻撃がスローダウンして、その間にブロックを形成されてしまう。
5得点のうち、4点がサイド攻撃からという現実も見逃せない。中央のコンビネーションが機能しないため、結局、サイドからのドリブル突破に頼らざるを得ない状況だ。
今回の合宿で、ゲーム形式の練習を行うと、いい縦パスを受けたときの大迫の存在感は際立っていた。自ら決めるだけでなく、周りの選手を生かす。おそらく、森保監督は大迫を軸にした布陣を想定しているだろう。問題は、中国戦に向けて海外組が合流した時、短時間でどこまで意思の疎通を図れるか。
中国は守りをガチガチに固め、カウンターを狙ってくるだろう。サイドから放り込むだけでは、はね返されるだけ。崩すためには縦パスからの高速パスワークで中央突破を狙う必要がある。受け手の動き出し、出し手のパスの狙い。勝負のカギは縦パスにある。
◆大塚浩雄 東京中日スポーツ編集委員。ドーハの悲劇、94年W杯米国大会、98年W杯フランス大会を現地取材。その後はデスクワークをこなしながら日本代表を追い続け、ついには原稿のネタ作りのため?指導者C級ライセンス取得。40数年前、高校サッカー選手権ベスト16(1回戦突破)。