ド派手!北九州市の「成人式」に取材殺到

ド派手!北九州市の「成人式」に取材殺到

ド派手!北九州市の「成人式」に取材殺到

◆北九州市の成人式取材殺到!

 1月10日は「成人の日」です。この3連休は全国各地で「成人式」が開かれますが毎年、注目を集めるのが北九州市成人式。金や銀、レインボーといったド派手な色の生地に鮮やかな刺しゅうが施された羽織はかまを着た男性、おいらん姿の女性など、カラフルな衣装に身を包んだ新成人が集まるためです。

 なぜ、北九州市成人式は派手な衣装が目立つのでしょうか。きっかけは何だったのでしょうか。その多くを貸し出しているレンタル衣装店、みやび北九州市小倉北区)の池田雅店長に聞きました。

金さん」「銀さん」…そして、レインボー

Q.派手な成人式衣装のきっかけは。

池田さん「うちは元々、貸衣装をしていて、毎年、成人式のときには男の子もぱらぱらと来ていました。当時は単色の黒やグレー、白といったごく普通の羽織はかまでした。そこに2003年、通称『金さん』と『銀さん』という男の子2人が現れたんです。成人式の1年ほど前に来て、『金と銀の羽織はかまを着たい』と言うんです。一応、『あたってみます』と返事したら、すごく喜んでくれて。

ただ、取引先10社くらいに電話してみましたが『無理ですね』『ないですね』とことごとく断られました。でも、彼らは『お金を払い始めたい』と言って、5000円とか1万円とか、持ってき始めたんです。とても難しい注文だったので、正直に言って、最初は『断ろうかな』と思っていたんですが、2人が『絶対着たい』というので、いろいろなルートを探して、試行錯誤しました。

通常ははかま関係をしていないところで、金と銀の生地を織ってもらい、その金と銀の生地を縫製して、彼らの成人式衣装ができあがったんです。結果としては、すごくいい羽織はかまができて、成人式でもとても目立ったそうです。2人とも『すごく目立って、よかった』と喜んでくれて、『後輩を紹介します。ありがとうございました』と言ってくれたんですね。

金さん銀さんが終わってよかった』とほっとしていたら、彼らの紹介で何十人も後輩が来てくれて、『金さん銀さんよりもさらにすごいものを』と言い始めて…。毎年、『先輩を超えたい』というのが当たり前のようになって、どんどん派手になっていったんです。いろいろアイデアを考えてきてくれるんですが、中には現実的にはできないこともあります。でも、私もデザインしながら、柄を考えました。

金さん銀さんの数年後に『虹キング』というグループが来て、『着物のここをファーにしたい』とか、『レインボーにしてほしい』とか、いっぱい要望が出ました。作るのがとても大変で、1年以上かけて、生地から作って完成。その後も口コミで広がって、気が付けば、『北九州市成人式は派手だ』と話題になっていた感じです」

Q.彼らは普段から、派手な服装をしている若者なのでしょうか。

池田さん「ごくごく普通ですね。ヤンキー的な子はいないです。工場で働いている人や学生さん、公務員もいます。お酒の販売店でアルバイトをしていて、仕事の途中に配達用の格好で、『こんにちは』と店に来る子もいます。成人式の日だけ特別で、一世一代の晴れ舞台という感じでしょうか」

Q.金額はいくらくらいですか。

池田さん「レンタル料は一般的な単色の羽織はかまだと5万~6万円ですが、派手なもので高いのになると30万円とか、中には100万円という人もいます。平均すると10万円台後半でしょうか。レンタルではあるんですが『先輩と同じものは嫌だ。ファーだけは変える』『袖を付け替えたい』といった感じでアレンジしていくことが多いです。オーダーで作る場合もあって、毎年、50着、100着と在庫がどんどん増えていく状態です」

Q.なぜ、北九州で、なのでしょうか。ネットでは、かつての暴力団絡みの事件のイメージもあって、「修羅の国」という言い方もされますが。

池田さん「暴力団イメージ成人式の衣装とはまったく関係ないですね。先ほども説明しましたが、普段はおとなしい子が多いんです。昔はやんちゃだったという子もいるようですが、20歳になる頃にはおとなしい子になっています。なぜ、北九州で、というと、工場勤務の人が多いという事情はあるかもしれません。北九州には自動車や製鉄など大きな工場が多いです。

ブルーカラーが多くて、普段は作業服という生活。工場で派手な格好をしていたら怒られるけど、成人式なら、きれいな格好ができる。仕事で疲労困憊(こんぱい)してつらいときに『ファーを付けようかな』といった感じで、衣装のことを考えるのが楽しみな子もいるようです。

地域的なことでいえば、福岡県の県民性として、派手好き、お祭り好きということもあると思います。親御さんやおばあちゃんもむしろ、『派手にしてもらいなさい』と言ってくれるんです。代々そうだからという感じで。ちなみに、みやびは東京や大阪などにも店を出しています。東京の店では、北九州の衣装を載せたブックを見て、『すごい』とは言ってくれるんですが『ここまではできません』というお客さんが多いです」

Q.最近の人数や傾向は。

池田さん「新型コロナの影響で、お客さんは減ってはいます。特に昨年の成人式前は、式があるかどうかさえ分からない状態でしたから、業界全体として動きが遅かったですね。ただ、式典がなくても前撮りはできるので、ある程度のお客さんは来てくれました。今年の成人式用の注文についても、昨年10月くらいまで新型コロナの状況が厳しくて、どうかなという感じでしたが、11月ごろから落ち着いてきて、前年並みには持ち直した感じです。デザインの傾向はさらに派手になっています」

Q.成人式は大人になる儀式という趣旨から見て、どう思われますか。

池田さん「正直に言うと、私は推奨しているわけではありません。むしろ、『おいらんの格好をしたい』という子は止めていました。ただ、本人の人生ですし、そうしたいと言っているのにダメと言い続けるのもどうかと。おいらんの衣装も本人が好きなものができて、喜んでくれれば、それでいいと思うようにしています。一生に一度の晴れ舞台だから、本人に喜んでもらうのが一番大切です。

それに、成人式当日の姿はとても派手ですけど、普段のおとなしい姿を私は見ていますから、彼らに『できません』『やれません』とは、かわいそうで言えないです。『とてもいい思い出になりました』『子どもの頃から夢でした』と聞くと、やっぱり、うれしいです。成人式の前撮りで感動して泣く子もいます。男の子女の子も普段にない笑顔が見られると、人生の節目の手伝いができてよかったと思います」

 北九州市成人式1月9日に行われる予定です。

オトナンサー編集部

「みやび」の成人式衣装(みやびのホームページより)

(出典 news.nicovideo.jp)

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