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【それ韓国のこと】「知らないことが問題」(ソウル新聞東京特派員)
▲ キム・ヂナ東京特派員
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「日本の近代化を導いた方ですね」
昨年末、日本の地上波放送のある芸能番組を見ている時だった。背景のごとく、つけっぱなしにしていたテレビを見た理由は、『伊藤博文』の名前が出たからだった。(日本)全国の大学生1万人が挙げた『幕府・明治時代の凄い人物ベスト25』アンケート調査を受け、芸能人が大学生の最近の傾向を当てるクイズ番組だったのだが、そのアンケート調査で伊藤博文は4位を記録した。これに先立ち、その大学生が伊藤博文を明治時代の尊敬する人物として挙げて称賛すると、すぐさま芸能人は共感するというように頷いた。
14位に挙げられた人物は『吉田松陰』だった。韓国で吉田松陰は伊藤博文ほど有名でないが、日本の韓国侵奪の元凶がまさに彼である。吉田松陰は日本の武士政権である幕府時代、要人の暗殺を試みて失敗し、29歳で処刑された。彼が育てた門弟の一人が伊藤博文である。吉田松陰が日帝強占期を作った人物であるという理由は、西欧列強がアジアを侵略する時、日本が生き延びるためには朝鮮を植民地にすべきという『征韓論』を主張したからである。
日本のゴールデンタイムにあたる午後8時頃、数多くの人々が見ている芸能番組で、伊藤博文と吉田松陰を尊敬する人物と言いながら放送するのは衝撃的だった。さらに驚くべきことは、知性の象徴である大学生が挙げた尊敬する人物が彼らだったという点である。韓国で伊藤博文といえば知らない者いないくらい、日帝強占期を代表する人物である。だがしかし、彼が生まれた国では尊敬される人物だった。そして数多くの人々が共感した。このギャップについて、何と説明すれば良いのだろうか。
日本の『歴史隠滅』は現在進行形である。日本政府は新潟県にある日帝強占期の朝鮮人強制労働現場である『佐渡鉱山』を、ユネスコの世界文化遺産推薦候補の選定を検討している 新潟県は、佐渡鉱山が17世紀の世界最大の金算出量を誇示し、金の採取から精錬まで手作業で行った世界的に例のない鉱山と言いながら称賛している。だがしかし、太平洋戦争時の佐渡鉱山を戦争物資確保のための鉱山として活用し、不足する労働力を補うために朝鮮人労働者を大挙動員し、月給すら十分に与えなかった否定的な過去については言及しなかった。
伊藤博文を尊敬し、佐渡鉱山を応援するこの全てのことは、十分に学んでいないことから始まっている。日本の文部科学省が集計した高等学校2022年度の教科書の需要によれば、右翼志向の教科書はほぼ採択されなかった。明成社の『私たちの歴史総合』は、A級戦犯の東条英機元総理の演説を批判せずに掲載したが、シェアは0.5%で最も低かった。その一方、日本軍慰安婦動員などを比較的に十分に記述した山川出版社の教科書は、合計シェアが41.7%となった。それでも良心的な教科書のシェアが高いことは歓迎すべきことである。だがしかし、このシェアも50%も満たないうえに、日本が間違った部分について十分に説明しない教科書のほうが多いのが問題である。
新たな一年が始まったのだが、韓日関係改善の兆しは依然として見えない。その根底に歴史問題があることは、誰もが知っている事実である。過去を反省しない日本について批判だけをするよりも、彼らがどうすれば歴史を正しく知ることができるのか、そのほうが重要ではないだろうか。
キム・ヂナ東京特派員
ソウル新聞(韓国語)
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