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【図解】働く女性の自殺増加=学校再開後、生徒らも―新型コロナ影響か・政府白書
(出典:時事通信) |
自殺(じさつ、英: suicide)とは自分の生命を絶つこと。自害、自死、自決、自尽、自裁、自刃などとも言い、状況や方法で表現が異なる場合がある。 世界保健機関(WHO)は「2016年時点では全世界において約80万人が毎年自殺している」としている。世界の自殺の75%は低中所得国で起こり、自殺は各国において死因の10位以内に入り、特に15
226キロバイト (32,770 語) – 2021年12月23日 (木) 03:06
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コロナ禍で11年ぶりに自殺が増加した。中でも女性の自殺は全ての世代で増加となった。
なぜ女性の自殺が増えたのか
令和2年の自殺者総数は2万907人で、男女別の内訳は男性1万3914人、女性6993人で、例年と変わらず男性が女性を大きく上回る。
しかし増減率で見ると、男性の自殺はむしろ減り、反対に女性の自殺は全ての世代で増加となった。
自殺の数は男性が多いが、実は例年、うつ病の診断は女性のほうが多い。
これは、女性は女性ホルモンが急激に変化しやすいためだ。
思春期・産前産後・更年期などに情緒不安定になったり抑うつになったりする。
そのためうつ病が多いことと、女性のほうが「眠れない」「気分が沈む」と気になったらすぐに受診行動をとることによるものも大きい。
ストレスの要因も、男性は仕事など家の外にあるが、女性は子育て・育児・DVなど家の中にあることが多い。
自粛で家族といる時間が増え、コロナ前から緊張状態が高かった家庭は、さらにその状態は高まっている。
新型コロナ感染に関して、男性よりも女性のほうが、不安が強い傾向もある。
実際、「コロナが怖くて学校に行けない」という子どもの、ほとんどのケースでは、母親が過剰にコロナ対策をしていた。
では通常、女性が男性より自殺が低く抑えられてきているのはなぜか。
それは、女性は男性より他者と会話し、会話によってストレスが軽減されていたと考えられてきた。
しかし、コロナ拡散防止のため食事・カラオケ・旅行などすべて自粛が求められた。
緊急事態宣言が解けて、日常が再開しても食事をするのは「黙食」、温泉に行っても「黙浴」でおしゃべりができない。
ストレス要因は上がり、ストレス発散要因が下がり、結果として、メンタル*のリスクが上昇している状態にあるのだ。
女性の自殺が増えた背景に、コロナ禍で子育てが「孤育て」になっていることがあるのではないか、といろんな場面で感じる。
このコロナの時期の妊娠自体も、感染を恐れて不安であろう。
そしていざ、出産となったら、実家から産前産後に手伝ってもらえない、里帰り分娩ができないなどの問題がまず生じ、不安なまま出産を迎えることとなる。
出産後も、子育てサークルが自粛縮小され、ママ同士のリアルなつながりもなくなっている。
また、保育園や学校が休校になると、ママ業はさらに激務化する。
そして自粛で外に連れてもいけないとなると、家で見るしかない。
夫はリモート勤務で、「リモート会議中は子どもを黙らせろ」というので、会議中2時間、近所を子どもたちと徘徊はいかいして過ごしたという母親もいた。
一人ひとりの事情を聴くと、本当にいろんな面でコロナ禍が子育てに影響しており、妻は夫への不満も募らせている。
若い女性の自殺の急増に関しては、性的な問題も視野に入れておかなければならない。
実際、わが国でも2020年の「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター」への相談件数は前年より増えている。
要因としては、家庭内での性的DV・虐待の悪化、外出自粛によって外に出られないため性的なデートDVが増えた可能性などがある。
また、交際相手を探せるマッチングアプリやSNSなどの利用が増え、知り合った相手から性被害を受けるケースも増加している。
コロナ禍における若い女性の自殺の急増を考える時、性の問題は無視できない要因だと考えている。
今回、コロナ禍で起きた女性の自殺の急増は、コロナ禍だから生じたというより、コロナ以前からあった虐待・DV・貧困・家族問題などがコロナの自粛によって悪化したと考えている。
それらに対する対策が不足していたところにコロナ禍という社会心理的危機が襲ってきたのだと感じている。
実際、自殺対策をこれまで着々とやってきた、男性たちの自殺は増えず、これまで自殺対策が不備であった子どもと女性について、自殺が増えたということを見ても、これまでの自殺対策の失策と考える。
なぜ、その人が*なければならなかったのかを、しっかりと分析して対策をとり、誰一人、自殺で*ないようにし、コロナ時代を生き抜けるようにしたい。
2021.12.22
https://president.jp/articles/-/53067