あわせて読みたい
駅前の「ゲームセンター」はなぜ姿を消したのか?
池袋にはゲームセンターが多くあるが全国的には減少傾向にあります。
2023年度データでは、アミューズメント産業の市場規模は、店の売上高5384億円(前年度比4.7%増)、機械の販売高1816億円(同6.0%増)を合わせて7200億円(同5.0%増)に達した(『日本アミューズメント産業協会』2025年8月発表資料)。
かつて駅前という移動の接点には、日常の合間を埋めるアミューズメント施設が存在していた。夕方から深夜にかけて、帰宅前の学生や会社員が、短い時間をメダルゲームや格闘ゲームに費やす――わずかな滞在でも利益が出るビジネスの仕組みが、都市生活の流れのなかに、人が少しだけ立ち止まる時間を生み出していたのだ。
21世紀に入ると、家庭用ゲーム機やスマートフォンゲームが広がったことで、店へ行かなければ手に入らなかった価値は少しずつ薄れていった。かつて駅前の空間が吸収していた時間は、個人のデジタル通信や、自分ひとりだけの閉じた領域へと置き換わった。
移動中の人々は、駅前に留まる代わりに、電車のなかやホームで手元の画面に没頭し、手持ち無沙汰な時間をやり過ごすようになった。それは自由な時間を手に入れたのではなく、通知や他人の視線に絶えずさらされる、インターネットを通じた監視状態へと移り変わったことを意味している。皆で同じ空間を共有するのではなく、自分だけの情報の殻に閉じこもるようになったのだ。
駅前の土地の値段が上がったことも、こうした場所が役割を果たせなくなった理由のひとつだ。駅のすぐそばという便利な場所は、人がゆっくり過ごすことを前提とした利益の低いやり方では、高い家賃を払いきれなくなった。100円という値段は昔からの決まりとして変わらないまま、店を動かす費用や税金の負担が増えた結果、土地をいかに効率よく使うかという競争に負けてしまった。






