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北朝鮮「国際社会の信頼を得るためには、正確な統計データを公開することが極めて重要だ」
北朝鮮が最近、国連に提出した報告書で国内総生産(GDP)などのデータを明らかにし、専門家の注目を集めている。北朝鮮は過去、自国の窮状があぶり出されるような数字の公開を避けてきた。
だが今回の報告書には「農村のほとんどが薪に依存」などの表現もみられ、これまでとは異なり“現状の告白”に力点を置いているようにもみえる。
北朝鮮では、金正恩(キム・ジョンウン)総書記の祖父・金日成(キム・イルソン)氏や父・金正日(キム・ジョンイル)氏の時代、自国の立ち遅れた状況が露呈するような経済指標の公開は避け、抽象的な「成果」ばかりが強調される傾向があった。
このため北朝鮮は統計の数字の流出に敏感になっていたように思われる。
筆者が北京駐在時代に北朝鮮側関係者から「中央統計局が各省庁から受け取る数字はだいたい膨らまされている」と聞いたことがある。
実際の数字は「ゼロ」だったりするが、そればかりが並ぶと組織が問責されるためだ。同時に「たとえ『ゼロ』や『マイナス』であっても、国際的に認められるためには、信頼される統計を公開すべきだ」という意見も聞いたことがある。
そして、金総書記の時代に入ると、現実直視の立場から、これまでの方針の転換がはかられ、国の窮状が明らかにされる場面も増えた。
統計に関しても、金総書記は今年1月の朝鮮労働党大会で「国家的に一元化された統計システムの強化」に言及し、信頼性確保に力を入れるよう強調している。
https://news.yahoo.co.jp/byline/nishiokashoji/20210906-00256816