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【産経】韓国、豪に大規模防衛装備 中国配慮で腐心も実利
文氏は4日間の豪州訪問を終えた15日、「豪州と韓国は新型コロナウイルスやサプライチェーン(供給網)の不安を乗り越え、新たな変化を主導していく」とSNS(交流サイト)に書き込み、訪問成果に満足感をにじませた。
両国は文氏の訪問中、韓国企業がK9自走砲30門や弾薬運搬車両を豪州で製造する契約を締結。豪州側によると、契約は10億豪ドル(約800億円)に上り、豪州がアジアの国と結ぶ軍事分野の契約で過去最大とされる。自主国防力の拡充を掲げる文政権にとっては、防衛装備品の輸出で軍需産業の強化を図ることにも力を入れてきただけに、大きな成果だ。
両国は豪州産鉱物の韓国ハイテク分野への輸出で緊密に協力することでも合意した。米中対立で供給網への不安が高まる中、韓国としては主力輸出品である自動車や半導体の素材の安定供給を図った。
一方、豪州は中国の脅威を受ける中、10年間で2700億豪ドルを投じる軍備増強計画を進めており、今年9月には米英との安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」を通じて原子力潜水艦導入も決めた。
豪紙オーストラリアンは韓国との防衛装備契約を通じて安保分野での連携が深まる重要性を強調。日本との協力と同様、韓国への接近も中国への牽制につながる意味で「豪州の大きな利益となる」と伝えた。
文氏とモリソン豪首相の会談後の共同声明には、南シナ海への海洋進出を強める中国を念頭に「両首脳はインド太平洋の安定が南シナ海などにおける国際法順守に懸かっていることを認識する」と記された。
モリソン氏は「韓国は豪州が直面する課題を明確に理解し、信頼できるパートナーだ」と強調した。
ただ、文氏は13日のモリソン氏との記者会見で、バイデン米政権をはじめ、豪州や英国、カナダが中国の人権侵害を理由に来年の北京冬季五輪に政府代表の派遣を見送る「外交的ボイコット」を決める中、「韓国は検討していない」と表明した。
文氏は中国との経済関係の重要性や北朝鮮問題を進展させるために中国の協力が必要な点に言及し、「中国とも調和の取れた関係を維持するよう努力している」と説明。今回の豪州訪問は「中国に対する韓国の立場と何の関係もない」と、豪州による対中牽制とは一線を画した。
文政権は自主国防力の強化を目指す方針の下、安全保障での米国依存一辺倒からの脱却を意図している。豪州とは安保・経済での連携を強化しつつも、対米・対中姿勢では路線の違いがむしろ鮮明となった。
産経ニュース 2021/12/15 21:41
https://www.sankei.com/article/20211215-LGWIGAEGVBMTLP6APWJJBDHQDI/