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。インフレーションの反対はデフレーションであり、財やサービスの一般的な価格水準が持続的に低下することである。インフレーションの一般的な指標はインフレ率で、一般物価指数(通常は消費者物価指数)の長期的な変化率を年率換算したものである。 経済学者は、非常に高いインフレ率やハイパーインフレ
31キロバイト (4,460 語) – 2021年12月14日 (火) 02:02
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先月、1ドルショップ(日本の100円ショップに相当)のチェーン店を全米で展開するダラーツリー(Dollar Tree)が、
物価上昇を理由に大半の品を1ドルから1ドル25セントに値上げすることを発表した。ネット上では店名を「ダラー25ツリー」に改名すべきとの声も上がった。
身近でもインフレは感じられるようになってきた。近所で最安値のガソリンスタンドには連日、車が行列をなしている。
筆者が住むワシントン近郊をはじめ都市部では公共交通機関を利用して通勤する人が多いが、ア
メリカでは内陸部に住んでいる人をはじめ大半の国民は車通勤のため、日々家計を直撃するガソリン価格上昇には神経質だ。
アメリカ労働省が12月10日に発表した11月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で6.8%。39年ぶりの高い数値を記録した。
6カ月連続で5%を超え、今や連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長も認めたように「一過性」とは言えない。
アメリカ経済は新型コロナによる不況からの回復過程にあるが、インフレ懸念の強まりによってバイデン大統領そして民主党は政治面でこれまでにないほど、窮地に立っている。
(中略)
■今のインフレは過度な需要増と抑制された供給の両方によって生じた需給の不均衡と説明できる。つまりダブルパンチで物価上昇は起こっている。
供給サイド、つまりコストプッシュが起きているのには、「大量自主退職(Great Resignation)」と呼ばれる現象、
すなわち、仕事を自主的に辞める国民が多くいることも影響している。
特に人との接触があって新型コロナ感染のリスクのある低賃金労働の飲食産業をはじめとするホスピタリティ関連では労働力不足が生じている。
このほか、労働者によるストライキやアメリカの抱える構造的なインフラ問題、世界的なサプライチェーン問題などさまざまな供給抑制の要素が物価上昇に影響している。
これらの多くはバイデン政権の責任とは言えない。
一方、需要サイド、すなわちディマンドプルでも新型コロナの影響は大きい。アメリカの消費の多くがサービスからモノにシフトした。
例えば、フィットネスクラブを退会し、自転車や自宅用ダンベルなどを購入する人が増えるといった現象が見られる。
しかし、需要面ではバイデン政権にも明らかに責任がある。トランプ政権下の2回のコロナ経済対策の給付金(1人当たり1200ドル、600ドル)に続き、
バイデン政権は2021年3月に民主党のみで成立させたアメリカ救済計画法(American Rescue Plan〈ARP〉 Act)に基づき追加給付金1人当たり1400ドルを支給した。
ちなみに、トランプ氏も自らの政権時代に、この追加給付金は支持していた。
(中略)
今となってみれば、経済回復の進む中での1400ドルの追加給付金は、火に油を注ぐ行為でインフレを加速させた失策であったとの見方が有力だ。
つまり、アメリカ経済を生産拡大に移行させる規模以上に政権は市場にお金を投入してしまったのだ。
一部のエコノミストはそのギャップは対GDP比で約10%にのぼると算出している。
追加給付金は短期的には国民に好評であったものの、中長期的には不人気なインフレをもたらしたようだ。