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【韓国・医療崩壊】コロナと関係のない一般救急患者も病院を探してたらい回しに
「どうすればいいんですか。他からも来るなと言われているのに」
忠清エリアで消防救急隊員として10年間勤務してきたAさんは、ここのところ患者を病院に搬送するたびに、医師とぶつからざるを得ない。
「ソウルや首都圏じゃなくても患者が急増しているのを実感します。とても困ったことに、熱が37度を超えただけでも病院では患者を受け入れてくれないんです。
連絡すれば来るなと言われて。患者を病院で受け入れてくれなければどこにも連れて行けない。救急車の中で何時間も待つ場合は数え切れないほどです」
政府が新型コロナウイルス感染者の急増に関連し特段の対策を検討している中、患者-保健所-消防救急隊員-病院とつながる医療システムが限界に達している。
患者の搬送の最前線で毎日戦っている消防救急隊員たちは、医療システムの崩壊とともに「信頼崩壊」状態に至っていると訴える。
「119に電話してくる人たちは、すごく攻撃的で怒っているんです。理由を聞いてみると、数時間我慢して保健所の『病院を調べている』
という言葉を信じていたけれど、それが1日たち、2日がたったら受け入れるわけにいかないでしょう。
国民の立場からすれば、政府の指針で病院を手配する段階が崩壊しているんです。信頼を失ったということです。
今はこの信頼が失われたことが最大の問題です」(京畿道西部地域の消防救急隊員Bさん)
14日午前0時現在、病床待機者は1481人に上る。在宅治療患者は2万5846人。今月5~11日の間に、病床不足のため病院に搬送できずに命を落とした患者は17人だ。
病床不足で患者の搬送システムは文字通り崩れている。病室が足りないため病院では患者を受け入れられず、
患者を搬送する救急隊員は病院を探して道路で時間を浪費し、結局患者を再び家に戻すという状況だ。
首都圏から光州(クァンジュ)や慶尚北道の栄州(ヨンジュ)まで患者を搬送したケースもあるが、それでも病室を見つけることができれば運がいい方だ。
Bさんは「最近の患者激増の前には、保健所が手配するのに3~4時間かかったとしても、地域が遠くても病院は手配できた。
でも、今は3~4日かかることもある。患者が我慢できないのは当然の状況」と述べた。
京畿道の別の救急隊員のCさんも「以前は病院に待ち時間を聞くことができた。だが今はそれさえも確認が不可能だ」と吐露した。
新型コロナと関係のない一般患者も危険な状況だ。ソウルのある救急隊員のEさんは「呼吸困難の激しい患者が病室を見つけられず、救急車の中だけで待機する状況が発生する。
救急車の酸素ボンベには限界があるので、ほかの救急車が酸素ボンベを持ってくるのを繰り返しながら数時間待つこともある」と言う。
「待ち時間が長くなると患者に心停止が来るのではないかと不安になる」とEさんは話した。
重症患者にはこのような状況はもっと過酷だ。病室を見つけられない重症患者の家族が、心肺蘇生を止めてほしいと求めたことまである。
Bさんは「慢性疾患を患っている70代の患者に心肺蘇生をしながら搬送した。『積極的に助けてほしい』と頼んでいた家族が、10カ所以上病院で断られるのを見て
『もうこのまま家に戻してほしい』と言った。こういうことがよくある」と話した。患者は死亡した。
病院も「限界に達した」と訴える。コロナが疑われる重患者が発生した場合、地方自治体の保健所に病床を申請し、119番を呼ぶように言うしかないという話だ。
新型コロナ患者の搬送時間が長引くことで、一般の救急状況にすばやく対処する能力は顕著に低下した。
ソウルの救急隊員は、「救急患者には1分1秒が重要。救急車にコロナが疑われる患者を乗せれば30分、感染確定者なら1時間消毒する。
病院に行くまでの時間を合わせると、3時間ほど救急車が出動できなくなる」と話した。
この場合、他の地域の救急隊が出動することになる。その分出動距離が長くなり、時間がかかることになる。
救急隊員らは「心停止患者などの場合、出動からゴールデンタイムの5分を確保できないこともある」と懸念を表した。