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【韓国・経済副首相】「TPP世論取りまとめ」…決定は次期政権に先送り
洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相兼企画財政部長官は13日に開かれた対外経済長官会議で、「TPP加盟を本格推進するため多様な利害関係者との社会的議論を基に関連手続きを開始する」と明らかにした。これまでTPP議論に消極的だった韓国政府が関連世論の取りまとめを始めたのは加盟に向けた一歩を踏み出したものと評価できる。
TPPは日本、オーストラリア、カナダなどアジア・太平洋地域の11カ国が参加する巨大自由貿易協定(FTA)だ。世界の国内総生産(GDP)の13.5%と世界の貿易の15%を占める。もともとTPPは米国、日本、オーストラリアなど12カ国で交渉に入ったが、米トランプ政権が2017年に離脱を宣言し日本の主導により残り11カ国が2018年3月に協定を公式妥結した。加盟を天秤にかけた韓国は米国が抜け傍観姿勢を維持した。だが中国が9月16日にTPP加盟申請をしたのに続き、台湾も同月23日に加盟申請書を出したことで状況が急変した。
通商で遅れていた中国と台湾が並んで加盟申請をすると、韓国も加盟をこれ以上遅らせることはできないという共感が形成された。これまで中国の牽制により通商で頭角を表わすことができなかった台湾がTPP加盟に成功するならば、韓国の輸出企業には大きな脅威になる恐れがあるとの分析も出ている
どうにかTPP議論を始めたが、韓国政府の立場は加盟申請ではなく「世論取りまとめ」にとどまっており残念との評価が出ている。TPPは加盟国全体の同意を受けなければ加盟できず、申請しても加盟できるかは不透明だ。また、英国に続き中国と台湾まですでに加盟を申請しており、順番が回ってくるまでは最小2~3年は待たなければならない。
韓国政府が決定的な瞬間に手を引いたのは農業界の反対のためだ。TPPの貿易規範は自由貿易協定(WTO)だけでなくすでに締結した他の個別のFTAより強い。韓国総合農業団体協議会は13日、「TPP加盟は韓国の農業、さらには食糧主権放棄と変わらない」とした。
ソウル大学国際学科のアン・ドックン教授は「実際に大きな意味がない加盟申請すら政府ができないのは大統領選挙を控えて世論の顔色をうかがったもの」と話した。
一方、日本メディアによると、日本政府関係者はこの日、韓国のTPP加盟には日本国民の理解も必要だとし、徴用工問題と食品輸入規制などさまざまな懸案があると言及した。