あわせて読みたい
【COURRIER】 日本が米中から「真っ先に切り捨てられる」理由 前駐中国大使が、戦略なき日本外交を痛烈批判
・“物語”に踊らされる日本
ー中略ー
──多くの日本人は、中国に対し不信感を持つ一方、親近感や尊敬などポジティブな感情も抱えています。
「衝突しても、日中政府はどこかで理解し合える」という期待を抱いてはいけないということでしょうか?
一般の中国人に対し、そうした感情を持つことは理解できます。ただし、中国共産党や政府に対し、そうした日本語的意味の「ウェット」な感情を持っても利用されるだけです。中国共産党は習近平国家主席になり大きく変わりました。
話が通じる相手ではありません。
・戦略なき高市答弁、日本が米中に「スルーされる」理由
高市答弁の内容は正しいです。でも、それをああいう場でしてはいけません。あのような発言がなされたのは、高市首相のなかに戦略的思考がないためです。
日本が外交をするうえで、中国との関係は必ず考えなくてはいけません。中国共産党と対峙するのか、安定的な関係性を“管理”するのかという点です。この見極めがないまま総理に就任してしまったから、あのような言葉が出たのだと思います。
安倍晋三元首相は高市首相と政治思想や手法はほぼ同じでありながら、戦略の有無については決定的な違いがありました。
安倍元首相は就任後すぐ訪中し中国側を引き寄せた一方で、退任後の2021年には「台湾有事は日本有事、日米同盟の有事」と発言をしています。彼は総理大臣としてすべき言動を戦略的に分別していました。高市首相はそうではありません。
そういったことは準備段階から学んでおかなくてはならないことで、総理になってから勉強しているようでは遅すぎます。
──あなたは著作などで「米中は表向きには対立していても、裏でディールを交わすことが常態化している」と指摘しています。
今回も同じような状態になりつつありますが、毎度日本が宙づりにされてしまう理由は何でしょうか?
戦略がないからです。米中の接近戦になると戦略のない日本は真っ先に切り捨てられます。
ー中略ー
僕が言う場合の戦略とは、国家の在り方やパワー・ポリティクス(国同士が武力や経済力を用いて自国の利益を追求すること)に基づく方法論を指します。理論的には、アメリカ外交の重鎮であるヘンリー・キッシンジャーの考え方がベースにあります。
戦略的な思考には、善も悪もありません。明確な国家目標があって、それを達成するためのいくつかの手段を練り、それぞれにリソースをどう配分するか。表のルート1本でやるか、裏工作は必要か。それを考えるのが戦略的思考です。
日本の外交には、戦略も戦略的思考もありません。起きた問題に対し「モグラたたき」のように対処し続けているだけで、国家目標に準じた対応ができていません。そもそも、国家目標そのものがありません。欧米の外交には当然ながら戦略的思考があり、中国共産党にも西洋的なものとは異なるものの、独自の戦略的思考があります。
日本には戦略も戦略的思考もないから、日米・日中関係に「友好」や「相互理解」などというウェットな理屈を当てはめ、米中から切り捨てられるのです。
日本において戦略的思考が育たない理由は、学校教育で政治や国際問題について主体的に考えることを「タブー」としてきたためです。
義務教育では「みんな仲良く」 「喧嘩はいけません」と教え、高等教育ですらも国際政治への向き合い方を教えない場合がほとんどです。
結果、戦略的思考のない空間で純粋培養された日本人が、各国が戦略を巡らせている世界に投げ出されてしまうのです。
前駐中国大使・垂秀夫
全文はソースから
12/13(土) 12:13配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/5e04f22b48b802417e53dc89095babb3fd3f6f85?page=1







