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【ネタバレ感想】映画『ラストマイル』は“20円”の絶望を描いた傑作。物流の闇がエグすぎて吐きそう…【アンナチュラル・MIU404】
遅れながら、やっと見ました……『ラストマイル』。
見終わった直後、ちょっと考えさせられた。。。。
いつもの宅配便のトラック、ネット通販の「ポチッ」というボタン……それらを見る目が、ガラッと変わってしまったからです。
正直、エンタメ作品として「面白かった!」だけで終われない。今の日本社会の構造そのものにナイフを突きつけられたようで、心臓が痛い。
見終わって真っ先に思ったのは、これです。
社会という巨大なシステムの中で、私たちの「幸せ」が飲み込まれてしまっている。
今日は、そんな整理しきれない感情と、作中で描かれた「20円」という絶望的な数字について、ネタバレ全開で語らせてください。
2024年公開。監督:塚原あゆ子、脚本:野木亜紀子。
ブラックフライデー前夜を発端とする連続爆破事件に立ち向かう、物流センターのリーダーたちを描くサスペンス。
Wikipediaで詳しく見る
ここから先は映画の核心に触れる「ネタバレ」を含みます!まだ見ていない方は、鑑賞後に戻ってきてください!
(出典:YouTube)
1. 「Customer Centric」という美しい呪い
満島ひかりさん演じる主人公・舟渡エレナ。
外資系のバリキャリで、「生きがい=仕事」というスタイルは、見ていて清々しいほどでした。
でも、劇中で何度も繰り返されるこの言葉。
『Customer Centric(すべてはお客様のために)』
響きは素晴らしいですよね。
でも映画が進むにつれて、この言葉が「社員や下請けに死ぬほどの激務を強いるための魔法の言葉(マジックワード)」にしか聞こえなくなっていくんです。
「お客様のため」という大義名分があれば、人の命や健康をすり減らしてもいいのか?
そんな重い問いを突きつけられました。
2. 便利さの裏側にある「20円」の絶望
私自身、Amazonなどのネット通販にはお世話になりっぱなしのヘビーユーザーです。
自分がスマホで「ポチッ」とするその裏で、配送の人たちがどれだけ限界ギリギリで動いているか。
特に心がえぐられたのが、ドライバーたちのストライキのシーン。
彼らが団結し、物流を止める覚悟で声をあげて、ようやく巨大企業から勝ち取ったもの。
それは……
たった「20円」の配送料アップ。
これ、リアルすぎて吐きそうになりませんでしたか?
映画的な大逆転勝利じゃないんです。
命がけで戦っても、変わるのはたったの20円。
それでも彼らは、生活のためにハンドルを握り続けるしかない。
この残酷なまでのリアリティこそが、野木亜紀子脚本の凄みであり、この映画の恐ろしさだと思いました。
3. 中間管理職は「閲覧注意」案件
これから見る人にひとつ忠告です。
中間管理職の人は、メンタルが健康なときに見るべき! 絶対に!
阿部サダヲさん演じる運送会社の八木さん。彼が板挟みになって苦悩する姿は、見ていて胃がキリキリしました。
「嫌なら他を使う」と言われてNOと言えない下請けの構造。これは物流業界だけの話じゃないですよね。
『アンナチュラル』『MIU404』ファンへのご褒美
と、ここまで重い話ばかりしましたが、もちろんエンタメとしても最高でした!
UDIラボのメンバーや機捜の404コンビが登場した瞬間、劇場の空気が変わったのを感じました(笑)。
それぞれの正義を持って戦ってきた彼らが、同じ世界線で生きている。
それだけで、ファンとしては胸が熱くなります。
まとめ:次に荷物が届いたら…
「即日配送」や「送料無料」は、魔法じゃない。
すべては誰かの「仕事」と「犠牲」で成り立っている。
この映画を見た後では、宅配便のピンポンが鳴るたびに、ドライバーさんに心から「ありがとう」と言わずにはいられなくなりました。
まだ見ていない人、そして働く全ての人に見てほしい傑作です。
皆さんの感想も聞かせてください!
「あそこが辛かった」「いや、ここが良かった!」など、コメント欄で語り合いましょう
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