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韓国語学科に入れないから妥協で日本語を学ぶ…欧州の大学で起きている日本文化ボロ負けという不都合な真実
■超マイナー言語の研究に命を懸ける日本人の正体
(略)
■欧州では日本より中韓の方が人気
日々ルーマニアで研究の最前線に立っている角さんだが、ここ数年、懸念していることがある。数年前から日本の国力の衰えをひしひしと感じるようになったことだ。
「10年近く文化外交の最前線にいますが、ここ3年ほどは、中国や韓国に完全に水をあけられています。昔は日本人気がトップでしたが、今は韓国が圧倒的に強く『韓国語学科に入りたいけど、倍率が高すぎて入れないから日本語学科で妥協しよう』という学生も多いです。韓国や中国は、国をあげて文化外交に力を入れていますが、日本は私のような民間人が細々とやっているだけ。以前はなんとか戦っていましたが、最近は完全に白旗です」
特にルーマニアは、2007年のEU加盟を機にODAが廃止され、青年海外協力隊も派遣されなくなった。日本との繋がりが弱まるなか、各国に孔子学院を設置し文化外交に注力する中国や、エンタメで世界を席巻する韓国が年々存在感を増しているというのだ。
特にエンタメの力は強く、ルーマニアでも韓流ドラマがテレビ放送され大人気だそう。一方、周りのルーマニア人に聞いても日本のドラマは見たことがないという。
俳優の鈴木亮平が2024年に出演したトーク番組で、韓国ではかなり前から国外向けドラマ制作に力を入れていたことを引き合いに「韓国に20年くらい差をあけられちゃったっていう危機感がある」と指摘し、話題になったことがあった。角さんはこうした懸念を日々、肌で感じている。
■「アニメ=日本」でなくなりつつある
「K-POPも強いです。今のルーマニアの若い人たちは、先にK-POPを知るので、その後で『J-POPっていうカテゴリーもあるんだ』と知るような感じです。私としては忸怩たる思いなんですが……。かつてと完全に順序が逆転してしまっている感じがします」
日本国内にいると「パリのジャパン・エキスポに大勢のアニメファンが……」といったポジティブな話題ばかりが耳に入る。しかし、角さんによると、日本は単発のイベント開催には積極的だが、継続的で草の根的な文化振興活動は民間人のボランティア頼みなことが多いという。しかもこれはルーマニアだけでなく、他の国の日本人と話していても同様の現象が起こっているのだとか。
日本の最後の砦ともいえるのが、マンガとアニメだ。角さんの大学でも、熱心な日本アニメファンによる同好会があり、メンバーによるアツいアニメ談議が交わされている。あまりにマニアックに語られ、角さんもついていけないほどの熱量だそうだ。
しかし、近年は中国・韓国発のアニメも台頭。実際、中国で制作され今年日本でも公開されたアニメ「ナタ 魔童の大暴れ」は、世界アニメ映画興行ランキング歴代1位を記録する大ヒットとなった。もはやアニメと言えば日本、ではなくなりつつある。
「いつまでマンガ、アニメが日本への関心を繋ぎ止めてくれるのか心配です」と角さん。
かつて角さんが学んだラテン語が今では「古語」になってしまったように、文化や言語はその時代を生きる人の受け止め方によって在り方を変えていく。日本文化はどうだろうか。日本にいるとつい近視眼的になってしまいがちだが、改めて目線を広く持つ必要性があるだろう。日本が完全なオワコンに陥ってしまう、その前に。
11/9(日) 11:40 プレジデントオンライン
https://news.yahoo.co.jp/articles/6f027b6ad4d3fcd122566278dcb2438794f962cc
https://president.jp/articles/-/104574?page=1




