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対米現金投資2000億ドルを10年分割払い、韓国政府の年200億ドル調達方法の現実性巡り懸念の声
■200億ドル合意の経緯
今年8月、韓国政府は対米投資に占める現金投資は造船業協力を除いた「先端産業対米ファンド」2000億ドルの5%に相当する100億ドルだと説明した。しかし、トランプ大統領はその後、ソーシャルメディアなどで何度も「韓国が3500億ドルを現金で前払いするだろう」と主張し、ステップが狂った。
韓国は3500億ドルを全額前払いすることは不可能だと言ったが、米国は5500億ドルの投資を決めた日本の例を挙げて韓国に圧力を加えた。韓国は「資金をウォンで調達してドルに換金すれば、外国為替市場への衝撃は避けられない」とし、ウォンを直ちにドルと交換できる通貨スワップを米国に要求した。しかし、米国側が受け入れず、代わりに分割投資が決まったという。
分割投資の規模を巡り、米国は年間250億ドルほどを要求し、韓国は最大でも150億ドル前後が最大だと主張した。結局、韓米は首脳会談で中間の200億ドルで最終合意した。
■外貨準備高の運用益で調達
しかし、年間200億ドルでも韓国の経済規模を考えると、決して少なくない金額だという指摘が多い。韓国の昨年の対米直接投資(FDI)224億ドル全体に匹敵する。
韓国政府はまず、ウォン急落を防ぐため、国内の外国為替市場ではなく、外貨準備高などの外貨資産の運用益と政府保証債で資金を調達すると発表した。韓国の外貨準備高のうち国債、社債など有価証券(約3784億ドル)と預置金および現金性資産(約250億ドル)は4034億ドルだ。それで10年満期の米国債を購入しただけでも金利が年4%程度にはなるため、年間160億ドルは調達可能と試算されている。外貨準備高を受託運用する韓国投資公社(KIC)の過去5年(2020~24年)の平均運用収益率が5.7%であることを考えれば、収益率をやや高めれば外貨準備を取り崩さずに運用益だけで年間200億ドルを確保できるというのが金融界の見解だ。
ただ、具副首相は国政監査で「基本的に現在の外貨準備高運用益は約150億ドルだ」とし、「もし不足する場合は、国策機関が調達、また海外から調達する部分もあるだろう」と説明した。外貨準備高の運用益が不足する場合には、国際外国為替市場で産業銀行、輸出入銀行などを通じて政府保証債などを発行して充当することになる。
しかし、一部には毎年200億ドルを収益性が不明な事業に投資することが韓国経済にとって負担になるとの懸念も存在する。金融危機の際、防波堤の役割を果たす外貨準備高を一段と増やすことが難しくなるほか、継続的に米国に外貨が流出することによる外国為替市場の不安心理も高まりかねない。高麗大経済学科の金鎮一(キム・ジンイル)教授は「200億ドルが本当に心配するほどの水準かどうかは結局市場が判断することになる。長期的にウォン相場の下落が落ち着かなければ、市場が今回の合意を負担に感じているというシグナルかもしれない」と指摘した。10月30日のソウル外国為替市場でウォン相場は前日より5.2ウォンのドル高となる1ドル=1426.50ウォンで取引を終え、31日もさらに1423.20ウォンまでウォン高に振れた。ひとまず外国為替市場が政府の計画を前向きにとらえているというシグナルだ。
金智燮(キム・ジソプ)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2025/11/04/2025110480114.html






