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【朝鮮日報/寄稿】韓日で協力して「アジア版NATO」をつくろう 韓国と日本は地政学的に分かつことのできない運命共同体
先日北京で中国の戦勝節80周年軍事パレードが行われたが、これは反米連帯が単なる外交イベントではなく、自由民主主義陣営に対するあからさまな挑戦であることを世界に知らしめた。権威主義陣営は韓半島、台湾海峡、南シナ海を一つの戦場とし、自由民主主義陣営に圧力を加える形でその連携を完成させた。その結果、東北アジアはいつ同時多発的な衝突が起こってもおかしくない火薬庫になった。韓国も同盟国や友好国との迅速かつ決然とした共同歩調によってのみ、その生存が保障されるだろう。
韓国と日本は地政学的に分かつことのできない運命共同体だ。日本には韓半島有事に兵力の増員、補給、後方支援を行う重要拠点として国連軍司令部の後方基地が七つ存在する。ところが現時点で韓国と日本の安全保障協力は軍事情報包括保護協定(GSOMIA)のみだ。実際の戦力移動や基地の活用を制度面で保障する仕組みは実は存在しないのだ。もし北朝鮮ミサイルの集中攻撃で韓国国内の主要な空軍基地が全て破壊され使えなくなった場合、日本にある基地を活用できなければそれは韓国軍にとって回復不能な打撃となる。戦争が起これば安定した軍需物資の補給も不可欠だが、この点でも韓国を支援できる国は日本しかない。
そのため韓国と日本もRAAや物品役務相互提供協定(ACSA)を早期に締結し、北朝鮮の侵攻に共同で対処できる体制を整えねばならない。RAAは基地や港湾の使用を可能にし、ACSAは弾薬・燃料・食料などの物資を相互に支援可能にする。GSOMIA、RAA、ACSAの三つの協定が全て締結された時に、初めて両国の安全保障協力は正常軌道に乗ることになる。
韓国と日本はいずれも安全保障面での協力は避けられないという認識を共有している。米国との同盟関係を長く維持している日本がかつてのように軍国主義に回帰する可能性は小さいが、それでも日本との安全保障協力を直ちに日本の再軍備への同調と見なすとすれば、それは韓国が直面している安全保障の現実から顔を背ける危険な発想だ。米国もインド太平洋戦略を通じ、韓国に同盟国とのネットワーク体制構築を強く求めている。日本との制度面での協力がなければ韓米同盟でさえその本来の機能を発揮するのは難しいからだ。
欧州と違ってアジア太平洋には集団安全保障体制は存在せず、米国との2国間同盟にのみ依存する形になっている。そのため中国、ロシア、北朝鮮の権威主義連携に対抗するには、民主主義諸国が参加する「アジア版NATO」が必要だ。韓国も日本も米国にとって重要な同盟国であり、なおかつ市場経済を共有しているため、両国が中心になればアジア版NATO設立も可能になるだろう。韓日協力は過去を消し去ることではなく、過去の記憶を忘れずに生存するための選択だ。今こそ過去を乗り越えて戦略的な決断を下すべき時だ。
梁旭(ヤン・ウク)峨山政策研究院アナリスト
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