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外貨準備を切り崩せば信用等級下落、国債発行したら急激なウォン安と資本逃避…韓国は現金で3500億ドル対米投資できるのか
韓国政府は今年7月、米国との関税交渉妥結を発表するとともに「3500億ドルの大部分は保証・融資の性格で、現金はごく一部」と説明していた。ところが最近、米国が投資金のほぼ全額を「現金で出資してほしい」と要求していることが分かり、このような現金を韓国政府が用意することは可能なのかという疑問が各所で出ている。
まず、こうした投資金の準備のために韓国政府がすぐに手を付けることができるのは、外貨準備だといわれている。今年7月末の時点で、韓国の外貨準備高は4113億ドルという水準。しかしこれは、決して十分とはいえない水準だ。国内総生産(GDP)比で見た韓国の外貨準備高は23%で、韓国と経済規模が近い台湾(77%)をはじめスイス(124%)、香港(116%)などと比べて格段に低い。数年かけて外貨準備を取り崩すとしても、国の信用等級が落ちるなどの問題が起きるかもしれない。信用等級が落ちると国債の金利が上昇し、政府の利子負担が激増することになる。国策金融機関がドル建て債券を発行することもあり得るが、現在のところ、こうした債券は年間100億ドル(約1兆4700億円)程度でしかない。
韓国政府が国会の同意を得て「特別会計」を予算で組むこともあり得るが、年間予算の70%を超える金額を用意するのは事実上不可能、という指摘がある。金民錫(キム・ミンソク)首相は9月16日の対政府質問で、これに関連して「財政的負担が生じ得る部分について、国会の同意を受けることができるという内容が(韓国憲法に)あるので、そうなったら国会の同意を要請し、求めるプロセスを踏まねばならないと考えている」と答弁した。
韓国政府がウォン建て国債を大量発行して外国為替市場でドルに換える形で調達するという方法も、考慮してみることができる。だがこの場合は急激にウォン安が進み、外国人投資家が大挙して韓国から離脱しかねない。韓国政府は、この問題を解決するため米国に対してウォンとドルを交換する通貨スワップを提案したが、米国側は難色を示しているという。
金旴哲(キム・ウチョル)ソウル市立大学教授は「3500億ドルを出資しろという話は、事実上、第2の通貨危機を受け入れろという話」と語った。
キム・ジソプ記者
https://news.yahoo.co.jp/articles/8231c8f187757e7379dee21b62a1ab2aceeec653