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「トイレには下半身を覆う布切れ1枚…私たちに何の過ちが」拘禁された韓国人労働者の語る人権侵害
米国ジョージア州の現代自動車とLGエナジーソリューションの合弁によるバッテリー工場で行われた不法移民取り締まりで拘禁された330人の韓国の労働者が12日に帰還したことで、拘禁時にこうむった人権侵害が相次いで語られている。14日の彼らの証言からうかがえる拘禁施設の様子は、衛生、外部との連絡、異議申し立て、状況説明など、国際社会の定める拘禁者の処遇の最低基準(ネルソン・マンデラ・ルールズ)にすべて違反していた。
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労働者たちは拘禁の初期、定員72人の大部屋の臨時施設に詰め込まれた。この日、聯合ニュースが報じたある労働者の拘禁日誌によると、2段ベッドが並んでおり、ベッドのマットにはカビが生えていた。ハミガキ、歯ブラシ、毛布などの基本的な差し入れも拘禁翌日になってようやく渡されとみられる。労働者たちは寒さに耐えるためにタオルを巻いて体を温めた。水はにおいがするため唇を湿らせるだけの労働者が多く、拘禁中に提供された食事は缶詰の豆、トースト程度だった。
拘禁3~4日目、労働者には順次2人部屋が割り当てられた。4.96平米(1.5坪)ほどの広さに2段ベッドと鉄製の机が置かれていたという。最大の問題はトイレだった。他人と共用する空間で便器は下半身を隠す布が1枚置かれているだけで、「オープン」の状態。協力会社の労働者チョ・ヨンヒさん(44)は「生理現象において特に人権保障ができていない状況だった。オープンなトイレでは解決できなかった」と語った。労働者たちにとっては、「ヤード」に出る2時間が日差しを見るその日唯一の時間だった。ヤードはバスケットボールのコートの半分の広さの狭い庭だった。
Aさんは、家族を通じてハンギョレに拘禁時の心境を語りつつ、理解できない処遇を受けているにもかかわらず抗議すらできず、大きな無力感に襲われたと吐露した。Aさんの家族は「何がこれほどの過ちだったのかも分からない中で反人権的に監禁されているのに誰も謝らないという現実が迫ってきたという」と語った。実際に、大韓民国領事らが拘禁者を訪ねた際にも、「私たちに何の過ちがあるのか、最後まで明らかにすべきではないか」という労働者の訴えが相次いだという。米国の投資要請で工場を建てている現場で直面した予期せぬ状況が、恐怖をいっそう強めたわけだ。
韓国人権学会のイ・ソンフン副会長(聖公会大学市民平和大学院兼職教授)は、「逮捕の過程、数十人を一部屋に強制収容し、劣悪なトイレや食べ物を提供するなど、現在までの証言によると、拘禁者の処遇の国際基準に合わない部分がいくつもみられる」とし、「米国にはこのような部分をあまり気にしない傾向があるが、韓国の立場からは人権的視点から問題提起しうる」と語った。
外交部は「政府は事件発生の初期から、米国側に遺憾を表明すると同時に、法の執行過程で韓国国民の権益が不当に侵害されてはならないということを提起し続けた」とし、「外部との通話の制限、拘禁施設に常駐する医療陣による健康チェックなど、韓国側の要請は一部受け入れられて改善されたが、不十分な部分はなかったかなど、韓国国民の人権やその他の権益に対する不当な侵害がなかったかなどについては、当事者企業と共に綿密に把握し、必要な措置を取っていく」と表明している。
チョ・ヘヨン、チャン・ジョンウ、イ・スンウク、ソ・ヨンジ記者