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【ハンギョレ寄稿】「MAGA(米国を再び偉大に)」勢力はなぜ韓国に注目するのか
MAGA勢力は、ドナルド・トランプ政権1期の頃から米国内の政治活動を越えてグローバルな極右ネットワークを構築しようと活発に動いた。スティーブ・バノンが2018年にベルギーのブリュッセルに本部を置いて活動を始めた「ザ・ムーブメント(The Movement)」が代表的だ。バノンは第1次トランプ政権のMAGA勢力を代表する人物であり、2016年のトランプの大統領選キャンペーンを率いて、ホワイトハウスの初代首席戦略家を務めた。9月6日にキンテックスで開かれた「ビルドアップコリア」で、バノンは映像メッセージを通じて「中国共産党の協力のもと選挙を盗んだ政党は、大韓民国、韓国国民を抑圧しようとするだろう」と述べ、現場に集まった国内の極右勢力を熱狂させた。
「ザ・ムーブメント」は発足当時、「欧州の右翼勢力を支援し、欧州議会の議席の3分の1を確保させることが目標」と明らかにするほど、攻撃的な方向性を設定した。欧州各国の右翼政党に選挙戦略やメディアキャンペーンなどを支援し、反EU感情を拡散させ、グローバル水準で移民の移動を遮断し、経済的な民族主義を拡散させるということだ。端的に言えば、MAGA路線のグローバル化戦略だ。団体はこの路線のもと、欧州の極右政党・勢力に積極的に接触した。「ザ・ムーブメント」の欧州での影響力拡大戦略は、それ自体では大きな成果を上げたとはみなしがたい。欧州の極右政党の立場としては、米国のMAGA勢力の支援をあからさまに受けるのは、自国内の政治リスクを甘受せねばならない選択だったため、表面的に極右政党はMAGAとは一線を引いた路線を守った。
しかし、結果的にMAGA勢力がターゲットにした欧州各国の極右政党は今、うなぎのぼりの躍進を見せている。ナイジェル・ファラージが率いる英国の「リフォームUK」は、今月第1週基準で労働党や保守党を圧倒的に抜き、世論調査1位をキープしている。マリーヌ・ルペンが率いるフランスの「国民連合(RN)」も、9月第1週基準で左派連合の「新人民戦線(NFP)」やエマニュエル・マクロンの中道会派の「アンサンブル」を凌駕する支持率1位だ。ドイツの極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は、「キリスト教民主同盟(CDU/CSU)」と1ポイント差で1位を争っている。ハンガリーの政権与党「ハンガリー市民同盟(Fidesz)」はMAGA勢力のグローバルネットワークの欧州パートナーの役割を自任し、2022年以降は毎年保守政治行動会議(CPAC)を開催している。この会議にはスティーブ・バノンをはじめとする米国のMAGA関係者らが大勢参加し、欧州内の極右の人物、さらに南米の極右の人物らも多数参加する。彼らはMAGAの理念のグローバル化を公に支持し、MAGAの世界連帯を目標に立てている。
13日には米ワシントンで「トゥルース・フォーラム」が開かれるという。「トゥルース・フォーラム」は韓国内の極右の青年団体で、2025年の大統領選の不正選挙論と「尹アゲイン」の正当性を米国に知らせる計画だという。MAGA勢力の立場としては、韓国はいろいろな面でアジアのMAGAの根拠地とするのに魅力的な条件を持つ。極右プロテスタントという安定した自生基盤があり、自らMAGA路線を受け入れる能動性を備え、ユーチューブを土台に「未来勢力」としての再生産の基盤まで備えている。欧州の極右派のようにプライドを掲げることもない。チョン・ハンギルが「私のバックには米国がいる」と言った言葉は、虚言ではない。MAGA勢力はますます韓国の国内政治に介入しようとするだろう。国内の極右は最小限のプライドや愛国心すらないため、今後の影響力は計り知れない。韓国の市民社会も、今やグローバルMAGAネットワークの忠実な一員になった国内の極右が繰り広げる行動に注目し、深刻さを認識する必要がある。
ソ・ボクキョン | ザ・可能研究所代表
https://japan.hani.co.kr/arti/opinion/54218.html