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【東亜日報コラム】 「敏感国家」指定と似ているが結果は異なるべき韓国人拘束
まず、両事件は同盟国である米国政府から事前通知を受けなかったという共通点がある。今年3月、韓国政府は米エネルギー省(DOE)が4月15日から韓国を「敏感国家」に指定しようとする動向を在米韓国人研究者から知った。
韓国政府はこの「非公式通報」を米国政府を通じて公式に確認するのに10日間を要した。
韓国政府が今回の韓国人拘束事態を把握した時点も、国土安全保障省(DHS)、移民・税関捜査局(ICE)など米当局がジョージア州のバッテリー工場建設現場を急襲した直後だった。米移民当局は取り締り結果の発表で、数ヵ月間内偵していたと明らかにした。米国に投資している韓国企業の出張慣行に問題があったなら、同盟チャンネルを通じて円滑に解決できたはずだが、移民当局はヘリコプターと装甲車を動員して「狩り」のように取締りを行った。
米国のエネルギー省と国土安全保障省が韓米間の意思疎通の死角地帯にあることも一因となった。意思疎通チャンネルが幾重にも構築されているホワイトハウスや国務省などは「敏感国家」指定や韓国人労働者の取締りについて「そんなことがあるとは知らなかった」という反応だったという。ある対米消息筋は「ICEが不法移民の取締り、送還の実績づくりに血眼になっている」とし、「今回の事態が『韓国たたき』のような高度な政務的判断の結果ではない可能性が高い」と述べた。
にもかかわらず、トランプ政権の「MAGA(米国を再び偉大に)」主義が相次いで韓米関係に悪材料として浮上している点は懸念される。中国牽制や不法移民取締りの強化など韓米間の2国間懸案を超える、現トランプ政権の内外優先政策がいつでも韓米同盟のリスクに飛び火する可能性があることをこれら2つの事例が示しているからだ。
トランプ大統領は、韓国人拘束事態が物議を醸すと、「外国企業が製造業分野の人材を迅速に米国に連れて来られるよう支援する」と同盟をなだめるようなジェスチャーを見せたが、移民当局は依然として原則論を掲げている。
反移民政策を総括する「国境ツァー」トム・ホーマン氏は、今後も第2、第3の韓国人拘束事態が続く可能性があると警告した。
「敏感国家」指定もまた、中国への技術流出に対する米国の懸念が核心的背景だったという。「敏感国家」指定の裏には米中間の技術覇権競争が存在しているのだ。
韓国人317人が11日に釈放され、比較的早く事態が一段落する雰囲気だが、問題はこれからだ。今回の事態は韓米同盟の核心懸案である韓国企業の対米投資の安定性などと直結している。再燃すればいつでも韓米関係を悪化させる大型の悪材料となり得るため、迅速な後続措置が必要だ。米国の製造業復興の野望と反移民政策が衝突する地点を集中的に攻略し、韓国人に対するビザ制度の改善などを早急に完了すべきだという指摘が出ている理由だ。
「敏感国家」指定論争が沈静化した後、少なからぬ政府当局者たちは「メディアが危険性を過度に誇張した面が大きい」と口を揃えた。
しかし「敏感国家」指定解除はいまだに音沙汰がない。韓国人拘束事態は多くの紆余曲折にもかかわらず、韓国人全員の釈放を通じて一つの峠を越えた。今回の韓国人拘束事態に対する後続措置は、「敏感国家」論議の時と同じであってはならない。
Posted September. 12, 2025 08:49, Updated September. 12, 2025 08:49
https://www.donga.com/jp/article/all/20250912/5843716/1