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【TBS】凋落するサムスン AI時代に取り残された韓国の巨大企業
■「サムスン帝国」の揺らぎ
サムスンという企業は、単なる電子機器メーカーではありません。
韓国社会において、それは国家にも等しい存在感を放っています。
ある韓国人は、自らの人生をこう表現します。「サムスン病院で生まれ、サムスンの学校に通い、サムスンのアパートに住み、サムスンで働く。家に帰ればサムスン製の食品をサムスンの電子レンジで温め、サムスンのテレビを見る」。
これは決して大袈裟な表現ではないのです。
世界中に40万人の従業員を抱え、半導体製造から造船、建設まで手掛けるサムスンは、韓国最大の企業です。
国内株式市場(KOSPI)で最大の構成銘柄であり、毎年、韓国の総輸出額のおよそ5分の1を稼ぎ出しています。
一企業が、国全体の生産物の20%を売り上げているという事実を想像してみてください。
これほどまでに一国の経済と深く結びついた企業は、世界中どこを探しても見当たりません。
「サムスンのない韓国は、スターやペンライトがないBLACKPINKのコンサートのようなものだ」と例えられるほど、その存在は絶対的です。
だからこそ、サムスンの危機は単なる一企業の経営問題では済まされないのです。
■AI革命が引き起こした地殻変動
長年、サムスンの栄華を支えてきたのは、テレビやスマートフォンではなく、その内部で動く目に見えない技術、コンピュータメモリでした。
特に「DRAM(Dynamic Random-Access Memory)」は、スマートフォンから世界最大級のスーパーコンピュータまで、あらゆるデジタル機器に不可欠な部品であり、サムスン電子の利益の50%から70%を叩き出す主力製品でした。
サムスンは、このDRAMという市場で30年近くにわたり、絶対的な王者として君臨してきました。
しかし、その状況はAIの登場によって一変します。
2022年末にChatGPTがリリースされると、世界は生成AIの時代に突入しました。
AI、特に大規模言語モデルは、従来のコンピュータとは比較にならないほど大量のデータを、かつてない速さ処理する必要がありました。
これまでのDRAMでは、到底追いつかなくなったのです。
そこで脚光を浴びたのが、「HBM(High Bandwidth Memory/広帯域メモリ)」と呼ばれる、次世代の特殊なDRAMでした。
HBMは、複数のDRAMチップを垂直に積み重ねることで、一度に大量のデータを転送することが可能です。
そしてAIの性能を最大限に引き出すためには、このHBMが不可欠となったのです。
■ライバルの躍進とサムスンの致命的な誤算
このAI革命の波に、サムスンは乗り遅れました。
皮肉なことに、そのチャンスを掴んだのは、長年サムスンの背中を追いかけてきた国内のライバル、SKハイニックスでした。
実はSKハイニックスは、AIブームが起こるずっと前の2013年に、AMDと提携してHBMを開発していました。
当時は主に高性能なゲームPC向けのニッチな製品と見なされており、大きな市場ではありませんでした。
しかし、彼らは未来を見据え、この技術への投資を続けていたのです。
半導体業界は、巨額の投資を5年も前から行う必要がある、未来予測が極めて重要な世界です。
ChatGPTの登場でHBMへの需要が爆発したとき、その準備ができていたのはSKハイニックスでした。
彼らはAI半導体の王者であるNVIDIAとの独占的な供給契約を結び、一気に市場の主役に躍り出たのです。
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https://news.yahoo.co.jp/articles/b99a3ff6ac0283c9a97a992044141377f387d74d?page=1