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【朝鮮日報コラム】「コリアニズム」をご存じですか
▶K-POPを題材にしてはいるものの、この映画の国籍は韓国ではない。監督は韓国系カナダ人のマギー・カン氏で、制作会社は『スパイダーマン』で知られるソニー・ピクチャーズだ。ひとことで言えば、米国資本のハリウッド映画というわけだ。だが、劇中に登場する3人組ガールズグループ「Huntr/x(ハントリックス)」と5人組ボーイズグループ「Saja Boys(サジャボーイズ)」は、夜の東崇洞駱山公園の城郭路を歩きながら会話し、キンパ(韓国のり巻き)やカップ麺に目がない。監督は自身の創作戦略を「できる限り韓国的に」と説明した。
▶マギー・カン監督は海外メディアとのインタビューで「コリアニズム」という言葉を使った。監督は「米国資本と英語で制作したが、文化的には百パーセント韓国映画」と説明し「韓国の情緒を創作の中心に据えて、これをグローバルな大衆文化の言語で表現した世界観がコリアニズム」と話した。「BTS」「パラサイト」「イカゲーム」など、韓国の創作者・韓国の制作会社による成果を韓流の第1段階と命名するならば、外国の創作者・外国の制作会社による「コリアニズム」は、その次の段階というわけだ。
▶1億5000万枚のCDを売り上げた米国の歌手ブルーノ・マーズが、BLACKPINKのロゼと共に韓国風に『APT.(アパート)』を熱唱する時代だ。ラウヴやホールジーなど米国の人気歌手たちは、自身の新曲を最初から韓国語で歌っている。ファッション誌『VOGUE(ヴォーグ)』は、韓国の美的感覚をテーマに実験的なビジュアル特集を掲載した。韓国文化ブームがなければ存在しなかったビジネスモデルもある。フィリピン最大のファストフード企業ジョリビーは最近、韓国のカフェチェーン「コンポーズコーヒー」とチキンチェーン「ノラントンタク」を買収し、東南アジア現地でBTSのV(本名:キム・テヒョン)と俳優チャ・ウヌを広告モデルに起用した。現地の韓流ブームを前面に押し出したM&A(合併・買収)であり、収益の最大化戦略というわけだ。
▶欧州の日本文化ブームを象徴する「ジャポニズム」は、「19世紀後半に西欧の美術界に日本の美術・工芸の影響が流行のように広まった現象」という意味の専門用語としてオックスフォード辞典に収録された。「コリアニズム」は今のところ、まだその段階にはない。「韓国語に由来する表現や韓国的特性」を意味する一般名詞だ。しかし、今の勢いが続けば世界文化のトレンドの一つを示す用語として定着するかもしれない。
魚秀雄(オ・スウン)論説委員
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