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ロシアでスターリンが復権、急速に再評価-弾圧や検閲・密告も再来
モスクワの地下鉄タガンスカヤ駅で、かつて撤去された元指導者の彫像が再び設置された。
その元指導者とは、独裁者スターリン。ロシアでは現在、スターリンの再評価が急速に進んでいる。
ウクライナ侵攻が長引き、プーチン大統領が国内の弾圧を強める中で、スターリンは数百万人の国民を死亡させた人物ではなく、
第2次大戦で勝利に導いた指導者として復権を果たしつつある。
いまだに議会第2党の勢力を保つロシア共産党は今月、スターリンの完全な政治的名誉回復を推進する案を支持した。
5月に公表されたタガンスカヤ駅のレリーフには、子供たちに囲まれ、感謝と花束を受けるスターリンの姿が描かれている。
一方、プーチン政権は検閲や投獄による反体制派の弾圧、指導者と戦争の下で団結するロシア社会というイメージの強化など、ソ連時代の統治手法を復活させている。
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今月7日、プーチン氏に解任された数時間後に自殺したとみられるスタロボイト前運輸相の遺体が発見された件は、政府高官の多くを震え上がらせた。
敏感な問題だとして匿名を要請した政府につながりを持つ関係者によると、次に当局の調査を受けて拘束されるのは自分ではないかと、高官の多くはおびえている。
スタロボイト氏の解任について、プーチン氏は理由を説明していない。
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スターリンと共に、同氏の統治手法も戻ってきた。
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「過激思想」やロシア軍の「信用をおとしめる行為」を禁じる法律もあり、平和的な政治表現やソーシャルメディアでの投稿などが刑罰の対象になる。
ロシアの人権監視団体OVDインフォのリポートによると、ロシアで昨年、政治的な理由で訴追された人は約3000人に上り、このうち1400人余りが収監された。
この数は前年に比べて25%増加したという。
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スターリン時代の「密告」も戻ってきた。同胞を告発するロシア人が増えている。
モスクワの小児科医ナデジュダ・ブヤノワ氏(68)は、昨年11月に5年半の懲役刑を受けた。
ウクライナでの戦争を批判したとして、この戦争で夫を亡くした女性が当局に通報したためだ。
サマラのサックス奏者には2月、フェイスブックへの投稿を理由に懲役6年の判決が下された。
ウクライナ難民を支援したロシア人は先月、ベルゴロドの軍事法廷で国家反逆罪とテロ支援の罪により懲役22年の刑を言い渡された。
閉鎖的な法的手続きに反対する法律専門家やジャーナリストで構成するロシアの団体、ファースト・デパートメントのアナリスト、キリル・ポルベツ氏によると、
戦争開始以降にロシアの裁判所では国家反逆罪とスパイの罪で694件が審理され、756人が被告となった。